第6話 チャンネル登録者数、大爆増

「だから、言っただろうが。ゲームじゃねえよ。ほんとうに火星をテラフォーミングしてんの!」


 俺がそう言ったあと、書き込みがさらに増えた。


”ええええええええ~”

”すげ~、ほんとうかよ!”

”宇宙人だ! ガチ宇宙人だ!”

”ヤベエ、これから先が楽しみ過ぎる”

”('Д')('Д')('Д')('Д')('Д')”


 プチパニックだな。やっぱり信じてなかったみたいだ。

 ふふふ、でもこれでチャンネル登録者も、投げ銭もガッポガッポだな。


”え? 待って。じゃあ地球に隕石が落ちるって……”

”あ、、、、、”

”やべえじゃん! どうすんだよ!!”


 ここで事体の深刻さに気づいたやつが現れた。

 その書き込みを見て、みなも理解しだす。

 わはははは。おせーよ。

 そうだよ。だから早く投げ銭しろって言ってんの。

 金かき集めてこいよ。間に合わなくなっても知らんぞ~。


 ――それからしばらく。


 投げ銭はこなかった。


「けーへんのんかい!」


 それどころか書き込みもパッタリなくなった。

 なんで?

 あーもしかしたら、それどころじゃなくなったのかもしれない。

 隕石が衝突する。なんとかしなきゃ! みたいにうろたえているのか。

 アホだな。おまえら田舎者が頑張ったって、どうにもならないのに。


 まあ、そのうち投げ銭しなきゃどうにもならないことに気づくさ。

 こっちはコツコツとテラフォーミングしていきますかね。


 ――そして、次の日。


「え~、前回はドライアイスを溶かそうとしたわけだが……見てもらおうか。いま、こんな状況だ」


 火星の表面をうつす。

 穴からものすごい勢いで、しぶきが噴き出している。お湯と二酸化炭素が混じり合った水柱だ。


 しかも穴の数は何十個にもなっている。穴というか、大地がめくれてクレーターみたいになってるんだけど。

 原因は膨張した二酸化炭素だ。

 気体となった二酸化炭素の体積は、固体だったときの千倍以上だ。

 それが地下で大量発生したもんだから、大爆発を起こしたわけだ。


 ドン!

 ほら、いまも爆発した。

 デッケー岩がヒューンとそらに打ち上げられとる。

 いやはや、地獄みたいな光景だな!


 ここで、ふとチャンネル登録者数を見ると、エゲつない勢いで増えていた。

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