死に際の出会い──それは少女にとって新たな一歩の始まりでした

友人との旅行中、水難事故に遭い、唯一救助された少女。
生き残ったのに、友人を助けられなかった罪悪感に嘖まれ、遺族にも非難され、毎日悪夢に魘され……。
耐えられなくなった少女は、死を選ぼうとします。

しかし、死に行く少女を引き止める美少年。
名前しか分からない不思議な少年とは初対面なのに、不思議と悪夢から解放されるような安心感を少女にもたらします。

そして、徐々に暗鬱だった少女が、前向きになり、同級生とも心を打ち明けるようになり……。
少しずつ、自分に向き合います。


水難事故で命は救われたのに、少女を襲うトラウマと罪悪感。
その心情描写がリアルに、そして丁寧な筆致で綴られています。

友達との交流で、塞ぎかけていた心が少しずつ開けていき、明かされる事故の真相。
そして、少年の正体。


最後は涙なしでは読み進められないでしょう。

ひどく切ないのに、なぜか読み手自身が浄化され、前向きになるような不思議な余韻に浸ること間違いないでしょう。

文章も非常に読みやすく、本当にオススメです。文句なしの★3つです!

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