05. 掬い上げた君たちに、救われる。

 それでもやはり、大賞を取れるとは微塵も思っておりませんでした。


 バディ・チームものが大好きな根占でありますので、勿論、【推しメンコンテスト】に応募なさっている他の作家の皆様の作品も読み漁ります(どの作品も本当に面白くて、バディ・チームの関係性がエモくて、最高でした。素晴らしい作品の数々を拝読させていただきありがとうございます)。


 すると、どうでしょう。素晴らし過ぎる他の作品を拝読していると、自分の生み出した物語には途端に自信が無くなってくるのです。このようなことはよくあります。


 そんな時、何となくメモ書き程度に書き出していた「ルール・ブルー」の番外編(未公開)にて、祓い屋チームの一人であるヒモ野郎が、こう言っていたのです。


「自他を比べて何になる? おまえは結局ひとりだ。どんな結末が待っていようが、おまえはひとりで前に進むしかねぇんだよ。人も異形も、生きてる奴はだいたいそんなもんだ。どんな奴も、何かしらこわい思いをしてる。だから、そんなモンなんだって。もっと気楽に生きてやろう」


 この言葉は勿論ですが、決して作者である根占に向けられた言葉ではなく、「ルール・ブルー」の主人公の一人である祓い屋の少年に向けられた言葉でした。


 しかし、この言葉に、根占は救われる思いがしました。

 そして同時に、ひどく驚きました。まさか、自分から生まれたキャラクターの言葉に、心が救われる時が来るとは。思ってもみなかったのです。


 しかも、人でなし、ろくでなしの屑なヒモ野郎と作中で散々言われているヒモ野郎の言葉に、思いがけず救われたのですから。


 物語とは、本当に不思議なものです。

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受賞・書籍化した物語と作者の一年間の備忘録。 根占 桐守(鹿山) @yashino03kayama

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