葉書を通じて誰かを知ってゆくこと

囲碁の対局を郵便葉書の交換で行うことがあるのを知りませんでした。
スピードが求められ、なにもかも瞬時に消え去るような世の中で、味のある絵葉書のやり取りは、そこだけゆっくりじっくり時間が流れるようです。
亡き祖父のあとを引き継いで碁盤に向かう主人公は、葉書の中にどんなことを見つけていくのでしょうか。
デジタルなやり取りでは得られない深みが全編を包み、失われつつある情緒を感じます。
囲碁を知らない人でも存分に楽しめる、ひとの温度を感じる物語です。

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