12月24日(日) 士郎 (最終話)


 けい三田みたあおいはさきに来て待っていた。

 いつもならよこに並んで座っているのがきょうは向かいあってて、士郎しろうは圭の隣に座らされた。

「なに? きょうは圭も被告席なわけ?」

 と尋ねる士郎はすっかり碧に説教される前提だ。

 碧はいたずらっぽくわらった。

「あとひとり来るから、その席あけてんス」

「へえ? めずらしい」

 だれが来るの? と女子柔道部だった子たちの名をいくつか挙げたけど碧はわらって答えない。


 すきま風が通って碧がちょっとふるえるしぐさをすると、

「寒い?」

 と士郎がチェックのブランケットを取りだした。

「どしたんスかそれ?」

 と碧が目をまるくする。士郎は駅のホームで寝てしまった話をした。

「……ふうん?」

「まえ酔っぱらいを助けたって言ってたじゃん。めぐりめぐってその恩が返ってきたんじゃねえの?」

 と圭が言って、ホームで士郎が女性を助けた話を碧に説明した。

「…………ふうううん?」


「たのしみだねえ」

 とよこから野太い声がして、見あげるとちょいコワモテのお兄さんがケーキを持って立っている。

「これ店からのクリスマスプレゼントな。こんやはいい出会いがありそうだ」


 そのときがららと扉が開いて、

「おくれてごめえん!」

 と元気な明莉あかりの声が届いた。




(おしまい。メリークリスマス!)


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アドベントカレンダー症候群 久里 琳 @KRN4

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