12月23日(土) 明莉


 イブはいてるんでしょ、とあおいは言った。


 もちろん空いている。潔いぐらいにすっぱりきれいに空いている。

「いっしょに飲もーよ、聖夜にさ」

「たってあんた男いるじゃん。やだよ、そんなとこに割りこむの」

 と明莉あかりが言っても取りあわない。

 じゃあイブに会おーね、またここで、って言って碧は帰っていった。おとといのことだ。


 わたしの言うこと聞いてた? って尋きたくなるほど一方的な約束だ。たしかに暇だし行ってもいいけど。碧の彼氏がどんなだか見てやんのもわるくないし。

 明莉はソファのうえでをする。きょうも死ぬほど暇。恋してないと、こんなに暇なんだな。これまでどんだけ恋にエネルギーつぎ込んでたんだよって明莉は自分に呆れてしまう。


 恋人のいないイブかあ、とひとりごとして、壁にかかるオレンジ色のカレンダーを見た。

 クッキーはあとひとつ。とびきりスイートなイチゴ味。


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