アドベントカレンダーという物に馴染みがない人は、まずはそれをググるところから始めましょう。これがどういった物かわかっていないと、一話で読者側がコケます。
でも、それさえ理解できていれば、この作品は本当に最後まで楽しめます。
楽しむ、という言葉を使うと作品の雰囲気を変に誘導してしまいそうですが、読者がページを捲る手を止められなくなるこの感覚は、本を読む楽しみを再認識させてくれるようでもあります。
恋愛小説としても、その卓説した構成力で、しっかりと読者をやきもきさせてくれます。
次はどんな展開になるのか、次はどんな味がするのか、気になって読み進めてしまうことでしょう。
本当に味わい深い、とても好い作品でした。
明莉(女性)と士郎(男性)、交互の視点で物語は進んでいきます。
クリスマス間近に恋人と別れた明莉。最初可哀想だと思いましたが、恋人の素性を知ると、このまま別れた方が正解じゃない?なんて思ってしまいました。
でもそう簡単に割り切れないのが恋心ですよね。
一方の士郎は恋に臆病になっていて、新しい恋にいまいち乗り出せません。
接点のない明莉と士郎。
でも、あれ?あれれ?
作者の巧妙な話の作りで、もしかしたら二人に接点が生まれるかも?
このレビューを書いているのは12月17日。
作品が完結するのはおそらく12月24日。
あと一週間で物語はどう進んでいくのでしょう?
明莉と士郎は出会うのでしょうか?
12月24日。
明莉と士郎はどのようなクリスマスを過ごすのでしょう?
ひとり?
それとも友達と?
はたまた……。
アドベントカレンダーを捲るあのドキドキした気持ちで、12月24日に何が出てくるのか。
一緒に物語を楽しみましょう。