集団生活の中で多感に揺れる感情。そんな感情の中の一片を切り取っている。学生時代に友達をつくったことのある誰もが感じるであろう感情の動きを、丁寧に拾っている素晴らしい作品だと思いました。終わり方も爽やかで素敵です。
いつも1人の主人公と、いつもみんなの中心にいる彼は、一見、真逆にも思える。だけど、それは自分達以外の人間が見たら、の姿だろう。誰にも気が付かない些細な表情で、誰も気が付かないさり気無い視線で。たぶん、自分達はよく似ているのかもと、感覚的に気がついたのかも知れない。だから「友達になろう」と思えたのだろう。そう思えたのは、2人にとって大きな一歩かも知れない。誰も気が付かない自分を知っていてくれる。その存在は、いつかこの2人にとって、かけがえの無い「親友」となるだろう。そんな風に思わせてくれる、気持ちの良い風が吹き抜けるような、爽やかな作品だ。
男性の友情を描いた小説になるのですが、物語の輪郭は淡く、透明感のある小説です。そうですね、読了した後のこるのは、なんというか、淡いけど、切なくて、尊いものが残るって感じです。でも、こういう友人を手に入れるって、人生では難しいことだと、個人的には思ったりしてます!
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