言葉の可能性を求めて

短歌や俳句、詩などで馴染みのある仮名交じり文に加え、古語法を取り入れた深みのある詩歌。また、比喩、掛詞、押韻なども豊富に取り入れられ、奥行きのある世界観から作者の満ち溢れる語彙力に瞠目します。
平仮名に込められた柔和な心象と作者の秘めたる丹精な想いと願いとが見事に融合し、上質な境地へと至る透明感のある作風。それはまるで心に憩う明るい安らぎに包まれるようです。
刮目して深読みするほど、言葉の味わいが広がり、その深淵な意図を汲み取る余地を、限られた文字数の中に奥妙に残している文体は秀逸。初心に立ち返らせてくれる源泉のような、瑞々しく湛えられた自然の中に、それでいて身を清める思いに浴する心地。
言の葉たちが花のように揺れ舞い、陽の光のように輝き満ちていく。それはまるで生命に与える活力として優しく降り注ぎ、今日も前を向いて歩こうと温かい眼差しへと向かうよう。
そんな言の葉たちが結びて奏でる美しい可能性を、味わい深く感じ取ってみませんか。

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