少年たちは奪われる。発動したバケモノの呪いを解くことはできるのか?

少年たちは廃村となっている忌み地に出掛け、そこで遭遇したバケモノに呪いをかけられてしまう。数年の歳月が経ち、その呪いが発動すると、少年たちの周りでは次々と不幸が起こり始める。

怖い。
バケモノに遭遇したシーンで、純粋にそう感じました。○○ホラーという細かい分類なんて関係ない、無印ホラーな怖さでした。
怖さと不安がつきまといつつ、物語はテンポ良く進みます。その中で、少年たちの抱えている個人的な問題も明かされ、あちこちから不穏の予感がし始めます。
少年たちは年相応にみんな未熟で、逃げたり、思い込んだり、傲慢だったり、自意識過剰だったりすることもあるのですが、喧嘩しても仲直りできるような柔軟な強さを持っています。呪いをきっかけに問題と向き合い、成長していく様は胸を打ち、ホロリとくるところもありました。
また、解呪に向けて動いていくストーリーでは、わかりやすく情報が提示されるため、物語の先に思いを馳せてはゾクゾクすることができました。
読者は読み進めながらその答え合わせをすると共に、予測が当たっても外れても、描かれていることに思わずホラーらしい感情を掻き立てられることと思います。

ヒューマンドラマとミステリーを内包した、ホラーらしいホラー作品です。

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