法医学×オカルト。コメディタッチでいて真摯でグロテスクな癖強ホラミス

婦人科医・花宮燈子は検死のために現場を訪れた。しかし、遺体はどこにもなく、周囲では捜査員達がうずくまってゲーゲー吐いている。どうやら、滝つぼから水死体があがったらしいのだが、その死体はひとりでに歩いていってしまったようで――

 起きているただならぬ事態、コミカルな語り口、法医学的知識に初っ端から引き込まれました。
 物語は燈子の一人称で進むのですが、読んですぐに彼女がクセの強いキャラだということがわかりました。そんな彼女の視点を通すからこそ、地の文が面白いです。思わず、笑ったり呆れたりツッコんだりしながら読んじゃいました。
 でも、コメディっぽいノリの一方で、目の前で起きていることは凄惨です。死んだ肉体に起きることや、登場する遺体が抱える事情などは非常にグロテスクで、五感的にも精神的にもきっと生理的嫌悪をもよおします。
 それらはホラー演出でもあるのですが、面白おかしくとにかく過激に描かれているわけではなく、登場人物たちが遺体や出来事に真摯に、あるいは冷静に向き合っているのが印象的でした。一番最初に、遺体に対する敬意について描かれるのも良いなぁと思いました。
 法医学というのは、それだけで興味を引かれる専門分野だと思います。わかりやすい、ある意味キャッチーな知識から、もっと踏み込んだ描写、さりげない描写まで盛り込まれていて面白かったです。
 この作品は、怪異が起きて当たり前というわけではなく、かといって、あり得ないと否定するでもなく、「そういうこともたまにはある」という世界観なのが、不思議な雰囲気がして好きだなと思いました。
 燈子と聖鷲の掛け合いも楽しかったです!

 もっと続きを読んでみたいと思ったし、マンガも似合いそうだと思いました。
 ホラー的な気持ち悪さをしっかり味わえて、コメディ・お仕事・ドラマ的要素も満たされる作品だと思います。もっとたくさんの方に読まれてほしいです!