これは最後にスクワレルオハナシ……
子供は良いでも悪い意味でも無垢だ。
成長過程を経て、自身の行動、周囲の環境により良し悪しを学んでいく。
けれども、誰が言ったか、純粋無垢は罪であると。
子供のしたことだからと、子供を理由に終わらせる大人がいる。
けれども、許す許さぬを決めるのは、受けた側。
謝ったから、許されて当然だからと終わらせるが、それは身勝手な理屈。
この作品の恐ろしいところは、冒頭でピースが揃っていること。
一見してばらけているから、読み進めないと、終わりに至らないと気づけないし分からないから恐ろしい。
ああ、確かにスクワレルオハナシである。
あなたの足元がね。
少年たちは廃村となっている忌み地に出掛け、そこで遭遇したバケモノに呪いをかけられてしまう。数年の歳月が経ち、その呪いが発動すると、少年たちの周りでは次々と不幸が起こり始める。
怖い。
バケモノに遭遇したシーンで、純粋にそう感じました。○○ホラーという細かい分類なんて関係ない、無印ホラーな怖さでした。
怖さと不安がつきまといつつ、物語はテンポ良く進みます。その中で、少年たちの抱えている個人的な問題も明かされ、あちこちから不穏の予感がし始めます。
少年たちは年相応にみんな未熟で、逃げたり、思い込んだり、傲慢だったり、自意識過剰だったりすることもあるのですが、喧嘩しても仲直りできるような柔軟な強さを持っています。呪いをきっかけに問題と向き合い、成長していく様は胸を打ち、ホロリとくるところもありました。
また、解呪に向けて動いていくストーリーでは、わかりやすく情報が提示されるため、物語の先に思いを馳せてはゾクゾクすることができました。
読者は読み進めながらその答え合わせをすると共に、予測が当たっても外れても、描かれていることに思わずホラーらしい感情を掻き立てられることと思います。
ヒューマンドラマとミステリーを内包した、ホラーらしいホラー作品です。