圧倒的な敵地の中、それでも凛と『可愛く』在る生贄姫が、最高に『可愛い』

『可愛い』は、姿形の美醜ではない。
ただ、『可愛く』あろうと努力する。その姿勢が『可愛い』。

生贄姫のこの価値観に、痺れてしまいました。

魔国という、人間の女性にとっては行くだけで泣いてしまいそうな地で、生贄姫・ベアトリスは「絶対に泣かない」と宣言する。
これだけでも、とても強い女性だと分かります。魔族の嫌がらせにもやり返し、へこたれることがありません。

しかし、その姿勢を培うまでに、どれほど辛い経験があったのかと思うと、「強く在らねば生きてこられなかったのかも」と考えさせられてしまいます。

そんな私の憂いも吹き飛ばすかのごとく、ベアトリスの「煽り返し」は痛快です。
ほとんどの魔族たちの「嫌がらせ」が、低レベルな煽りや悪口に留まっているのも、作品の雰囲気が暗くなり過ぎない要因であると思います。

生贄姫・ベアトリスが、どのように魔王と関係を築き、「真の王妃の座」を勝ち取るのか。
美しく冷酷な魔王・ジンの心境の変化も注視しつつ、この先も楽しみに読ませていただきます。

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