自己肯定感激低荷物持ちの、無自覚規格外っぷりが爽快

優秀なサポート役は、得てして目立たず、どうしても他の主力メンバーより低く見られがちなものです。

現役最強パーティに属する「荷物持ち」のダンは、パーティ外からの評価が低いです。とても低い。めちゃくちゃに低い。「寄生虫」とさえあだ名されています。
そんな扱いを受ければ怒ったり悲しんだりしそうなものですが、ダン自身の自己評価がそれを上回って低いため、作品にコミカルな雰囲気を与えています。
扱いがひどい描写が多いのに、ダンがこれでもかと自分を卑下するため、印象が薄れているのかなとも思います。

そんなダンが、無自覚に規格外の才能の持ち主であり、パーティメンバーだけはそれを評価してくれている。グッとくる設定です。
なんといっても、ダン視点から他パーティメンバー視点に切り替わると、見えるものががらりと変わります。
ダン視点を「結構すごいことやってるけど……? どうしてそんなに卑下するの……?」と思いながら読み進めていって、他パーティメンバー視点で「いやそれ以上にすごいことやってた!」と驚かされるのが爽快です。
この世界の冒険者、かなりガラが悪くプライドが高くメンツを大事にして他者にマウントを取りまくる人々のようなので、むしろダンを正当に評価できる〖混色の曲刀〗の株も爆上がりします。

個人的には、どうしてダンはこんなに自己評価が低いのか……というのが気になります。
その一方で、ダンがこれからどう生きるかが重要だから知らなくても良いかな、と思ったりもします。

良い意味で、感情が掻き乱される作品です。
あらすじに「真のパーティメンバーになるまでの物語」とあるので、ダンを始めとする〖混色の曲刀〗が、どのような過程を経てそこに辿り着くのかも楽しみです!
応援しております!

(私の個人的な推しは、「トリ」です。可愛い……)

その他のおすすめレビュー

青波希京さんの他のおすすめレビュー24