「光の聖女」は微生物学者!?

 勇者とその仲間たちによって、人間と魔族との対立が終わり、共存宣言がされた世界。

 「光の聖女」と呼ばれていた主人公は、本当は微生物学者。勇者との旅が終わったあと、政争に巻き込まれる前に聖女を返上した主人公は、人間と魔族が暮らす港町で雑貨店を営んでいました。

 まだ菌の概念が理解させず、経営は厳しいけれど、弟子やかつての仲間、勇者達との交流を重ねる日々を過ごします。

 作者様の独特の世界観と生き生きと描かれている登場人物。

 ――ファンタジー作品で勇者。
 バトル系かと思っていましたが、価値観がゆらぐ多様性の異世界は現代とも重なる部分もあり、微生物学者の主人公が、『微生物』や『菌』に注目し、魔族と人間の決裂の原因だと言われていた『魔族の呪い』の正体は微生物(ペスト)が原因だったり、加護や魔法も魔力や聖力による微生物の操作ではないかと気付いたり、まだまだこの先どうなるのか目が離せません。

 生物学も含めとても丁寧に描かれていて、着眼点が他作とは異なり、そのオリジナリティがとても興味深く面白いです。


 (アルトゥール視点 アルトゥールは気付く 拝読後のレビュー)

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