ファーメンテーションってなんぞ?と思った人。――私です。

無学で申し訳ないです。

「ファーメンテーションって何?」っていうのが正直なところでした。
なぁーに、調べてみればなんてことはありません。『発酵』でした、『発酵』。めっちゃ身近でした。発酵食品大好きです。

もうね、この年になると横文字に弱くなるから。『アジェンダ』とか『エビデンス』とかにもいちいち突っかかって「あ?日本語でしゃべれや!」ってなっちゃうから。そんなことはどうでも良いんですけど。

さてこのお話、タイトルにもあります通り、『ファーメンテーション(発酵)』がキーワードというか、主人公(ヒロイン)であるモルゲンは微生物学者なんですね。そんなモルゲンですが、なんと、『元・聖女』という肩書を持つのです。

微生物学者なのに聖女の才能があったの?すげぇ!と思いましたが、実はそうではなく、彼女の微生物学者としての知識がまぁなんやかんやして『奇跡』と呼ばれ、聖女になった、っていう。

これはね、私が昔々にパン作りを見た時にも思ったやつでしたね。
だって、なんかあれこれしたら、パン生地が勝手に膨らむんですよ。幼稚園の先生が「いまから先生が魔法を使ってパンを膨らませるからね」とか言って、布をかぶせて放置したら本当に膨らんでるんですもん。いやマジで魔法だと思いましたからね。
これに限らず、人間って、自分がその仕組みを知らないことって「これは魔法だよ」の一言で騙されちゃうんですよ。騙されちゃうってなんか悪い言い方ですけど。

なので実は昔から、例えばこれまで『奇跡』なんて言葉で伝わって来た宗教的なアレコレなんかも、その当時の人には理解出来なかっただけで実はただの『仕組み』だったりするんじゃないかなって疑っていました。でも、『奇跡』にしといたほうがロマンがあるし、そういうことを言ったら「そういうところがあるから松清は可愛くないんだ」って言われちゃうので黙ってましたけど。もう可愛い年でもないのでここで言っちゃえと思って。

私の話は良いです。

こちらの作者様、いつも思うんですけど、もうほんと博識でですね。大層な勉強家なんだろうなって。それで、その知識をひけらかすんじゃなくて、こうやってお話の中に盛り込めるのがすごいんですよ。ちゃんと物語として生きてるんですよ。ほんとね、こうありたいって思いますよ。

発酵のことだけではなく、胸が痛くなったりするような差別、対立の歴史なんかもあって、シリアスかな?と思いつつも案外クスッと笑っちゃうようなシーンもある、とても読み応えのあるファンタジーです!

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