あとがき
今回はRisk - OK, Computerをお読みくださり、ありがとうございました。またしても執筆者である僕にも理解の及ばない迷作を書き上げてしまいました。本編のタイトルはイギリスの偉大なロックバンドの名盤から引用したもので、今回のコンセプトは本編でも語られた通り、人々の「選択」と「リスク」についてです。
読者の皆様は、自分が毎日35,000回の選択を繰り返していると知って、どう思われましたか。きっと「いつの間に!?」と思った方がほとんどかと。それ即ち、人は日常生活における多くの選択に直面した時、いちいち行動を決定する際に伴う「リスク」を考慮していないということです。当たり前と言えば当たり前。例えば電車に乗ろうという時、わざわざ鉄道会社が提供している運送約款に目を通すことはしないでしょうし、仮にそのような猛者が居たとしても、毎日朝電車に乗る前に運送約款が更新されていないか確かめていますという人は世界広しと雖も流石に、ね。
ただ一方で、朝早くからどうしても外せない用事がある時は、起きれなかった場合に備えて目覚まし時計をセットするとか、海外へ旅行する際には必ず現地の気象状況や情勢について予習するとか、来たるべきリスクには何らかの「対策」をすると思います。そもそも危険に近づかない、過度なリスクとなる選択は取らないという安定志向の方も居るでしょう。触らぬ神に祟りなしってやつですね。
リスクを意識的に、あるいは潜在的に認識しているにせよ、していないにせよ。人の選択には、大なり小なり色々なリスクが付き纏います。それでも人がリスクに怯えず、思うがままに日常を謳歌できているのは、その選択が自分の自由意志によるものであって、誰にも邪魔されるものでないからこそではないでしょうか。自分の選択によって近い将来、あるいは遠い未来に訪れることになるリスクを承知の上、覚悟ができているからこそ幸福なのだと。どこぞの神父みたいなこと言ってますね(笑)。
実際のところ、僕はそう思います。僕は自他共に認める大酒呑みですが、いつか肝臓を壊すだろうというリスクをいちいち気に留めていません。それは自分の自由な選択によって享受することのできる幸福と、将来のリスクを天秤にかけてのことではなく、自らの自由意志に基づく決定について覚悟を持っているからです。煙草は吸わないので分かりませんが、喫煙者の方も同じような発想ではないでしょうか。
自分の選択について「本当に正しいのかな」「これで良かったのかな」と思っていたとしても、それが自分の自由意志による覚悟の伴った選択であるのなら、何も間違ったことではない。反対に、人からの指図を真に受けて迎合し、自由を棄ててまで行われる覚悟の伴わない選択は、後のリスクが現実のものとなった場合、必ず「後悔」へと変貌します。要するに、自分のことは自分で決めないと幸せは掴めないだろうということが伝えたかったのです。
明日もまた、35,000のリスクが貴方を待っています。でも、恐れないでください。自由と覚悟さえあれば、一千万だろうが、十億だろうが、あるいはそれ以上のリスクだってきっと乗り越えることができるでしょうから。
それでは……!
Risk yokamite @Phantasmagoria01
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