巫とは、神とは、命とは何か?を感じさせる作品

この作品を一文字で述べるなら「わ」です。
和風ファンタジーの「わ」人のつながりを指す「輪」、輪廻を意味する「わ」、わだかまりの「わ」、別れの「わ」、若さの「わ」、和解の「わ」などなど
主人公やヒロインが丁々発止の活躍を行って、魔物を斃す的なファンタジックストーリーではありませんし、中で繰り広げられるエピソードも悲しいシーンもありますが、それでもその時々で生きた人たちの思いや生き様を収斂させていく様は、作者様の技量の高さを伺い知ることができます。
そして私たちが住む日本には、様々な神が存在し、神は全知全能ではなく人に信仰されてこその神であり、神が神でなくなるとはどういうことなのかを改めて感じさせるとても素敵な作品でした。
特に純文学が好きな方に読んでいただきたいなと思う物語です。

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