彼らの王は立ち上がった。


箱庭(クープ)のクイーンとして君臨するエル・スミスが鍵を受け取ったところから始まる物語。
これでもかというほど「残酷さ」を盛り込んだ小説。
くそったれな世界で、一人の少女と一人の男が革命を起こすために動き出す──
一文一文から伝わる世界の卑俗さ、海外映画でありがちな下品さやブラックジョークを交えた文章は読んでいて胸糞悪くなります。けれど、それが良い。
下品だからこそ、主人公のひたむきさ、勇敢さが際立ちます。無謀だって? 馬鹿だって? そんなことありません。クイーンは強く気高い王だから。

トゥラン人を見下し、蔑み、人として扱わないことを〝常識〟と思って生きているベルチェスター人。彼らの鼻を明かしたくないですか? 彼女たちの有志を見届けましょう!

まさに、最底辺から始まる下剋上 ~燻る恋心を添えて~ です。

………なーんて言ってみましたが、泥水啜って地べた這い蹲って進む主人公が好きな人なら、絶対にはまるでしょう。
一言で言ってしまえば、作者様である愛実さんは天才だッ!!

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