死という現実に立ち向かう、ある少年の青春物語

最初、私は愚かにもこの作品の主題を理解していなかったかと思います。
展開されるのはある少年と病室の君との初々しくも爽やかな出会いと青春です。
甘酸っぱい彼らのやりとりにムズムズして、頼りになる大人たちと共にどこか可愛らしく進んでいくのですが、同時並行的に進むのは「死」という現実です。ここでやっと朧げに理解しました。

この物語は少年が死と向き合うことで真の始まりを迎えるのではないでしょうか。

少年はやめたげてよ、と止めたくなるほど心身共にボコボコにされます。
しかし、それでも立ち止まらず進むのは愛故か呪いのような執着なのか。傷つきながら、失いながら進む、そんな彼らの行く末に目が離せません。

ぜひぜひオススメ致します。

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