第4話
side親子(ロナ&エリカ)
私はロナ辺境の町で生まれて、家族と一緒に穏やかに暮らしていた少女です。
お父さんは教会で司祭をしているちょっと偉い人でした。お母さんはその町では有名な美人さんと言われていて、私も可愛いなんて言われることが当たり前の日常でした。
でもある日、すごく穏やかなお父さんが、不正?という悪い事をしていたと上の人が言ってお父さんを捕まえてしまいました。
町でも評判がよく私たち家族にも、真面目で何処までも正しいことと思うような行動をとっていたお父さんが、そんな悪いことなんてするもんか!なんて私は思っていた。
お母さんもその話を、信じなかったし私もそんな事をするお父さんじゃないと思っていた。
そして、深夜になってお父さんが、ボロボロの状態で帰ってきて、告げる。
「すまない、お前たち。お父さんはあの男に騙されてしまった。どうかここから逃げてくれ。」
「あなた、そんな事...」
「お父さん...」
「もう時間が無いんだ。だからお願いだ、どうか生きてくれ。」
そういって、私たちにあるものを渡してくる。
「これに魔力を込めれば、相手からの認識を阻害できる。これを使って逃げてくれ。早く!」
それに対しお母さんは
「―――分かったわ。必ず生き延びて見せるから。」
「わ、私も頑張るから!お父さんも頑張ってね!約束だよ!!」
「ああ、必ず」
そう言って私たち親子は、私たちの家から離れていく。家の方に3人の男の人が、近づいてきているのが見えたがお母さんは、それを見ても必死に逃げるように、もう振り返らずに私を引っ張って前に進む。
それが、始まりの私たちの逃走劇だった。
それから、暫くして王都のスラム街につき、安いが整った家を見つけることが出来た。
それからは、少し治安は悪いが、生活出来る位には不自由ない生活をしていた。
だけど、それから2ヶ月してある男がやってくる。
「奥さんよ。主人の借金があるんですよ。これを返して貰わないと私たち困るですよ」
「私は知りませんよ。人違いではないのですか?」
「いや、あなたあの村の出身の人ですよね?それによからぬ噂もある人では無いのですか?」
「っ!?」
そう言われて、私は動揺する。でもこの王都内で知ってる人なんていないと思っていたのに、どうしてそれを知っているのかと思ったけど、夫が戻ってこずにいるということはそういうとこなのだろう。
だけど、直接そのことを触れないということは、何を起こしたのかはこの人たちには言ってないのだろうと思った。
それから、言われた通りに一定数の支払いをしてその日は帰ってもらった。そしてまた1ヶ月後に、その男たちはやってきて同じ額ではなく少し多くなった書類を持ってくる。
そして、一定数この場所に来るようになって娘を見られて脅しをかけられたりもしたけど、決して屈指なかった。夫の言葉『もう時間が無いんだ。だからお願いだ、どうか生きてくれ。』という言葉を胸に私は気丈に振る舞う。
そして、向こうが強行するほどに悪化した態度を示した時に、ある出来事が起こる。
「少し良いだろうか?」
そうして現れた少女?少年?と思わしき帽子をかぶった子供とそのお姉さん?らしき人が現れる。それを嘲笑うかのように、男たちが反応する。
「あぁ?なんだガキ、何しにここに来た?」
「おっと、正義の味方ごっこかwww?」
「ガハハ!!それはウケるぜwwwお守りも着いてよ。」
そういって、馬鹿にするように、2人に話しかける。後ろに使えているようにいる少女は、少し睨んでいたが、それもすぐに顔が変わる。
それは前にいた子が、何やら不穏な気配を漂わせるように、3人組に圧のようなモノを真正面にいた男に睨みつけて告げる。
「黙れ、この小悪党どもが、誰の許しを得て借金返済などと宣っている?」
「う、え、あっと....」
「おい、どうしたんだよ?急に―――」
「そうだ、こんなガキさっさと追っ払って―――」
そう言って後ろにいた男たちが前に近づいて顔が青ざめていく。空気がなんだか冷えてきたようなそんな感覚があの少年?から漂ってくる。それは記憶に残るあの殺気と同じ...いやそれ以上の物があの3人に放たれている。
物凄い濃密な魔力なのにこの周辺だけ隔離されたように、調整されて子とは思えないほどに洗礼されている。
そう思っていたら3人組の前にいた人が気を失いかけていた、それを後ろに控えていたであろう少女が―――
「ミリア様!!ダメです!!」
そう言って何かを放つような素振りを見せる少年に抱きついて正気に戻そうとする。そうしたらだんだんと落ち着いて来たのか、あの凍りつくような寒気はもうしなくなった。
そして止んだ事を察したのか3人組の男たちは悲鳴をあげながら、走り去っていく。
私も少し怖かったけど、恩人に対してそんなことを思っては行けないと、思い我慢した。そうしていると先程の怖かったとは思えない子が私の所に来て謝罪をし始めた。
「ごめんなさい、怖い思いをされてしまって」
「いえ!助けて貰ったのに、謝らないでください。私はむしろ感謝してますから。」
「そうですか....」
「ミリア様、私から一言告げてもいいですか?」
「えぇ大丈夫」
そう言って謝罪してくれた時に家の方から声が聞こえた。
「お母さん、何かあったの?少し騒がしかったけど?」
「ああ、ロナ起こしてしまいましたね。もう大丈夫だから気にしないで。」
私は出てきた娘ロナに優しく声をかける。少し眠そうにはしていたけど、あの騒ぎで起きてしまったことはしょうがないにしろあの時に出てこなくて良かったと心から思う。
そして目を擦りながら、娘のロナはやっと起きたのか、目を開いて彼女たちの方を見て少しにこやかに挨拶をする。
「あ、こんにちは!初めまして!お母さんとお話ですか?」
そう言って、明るく笑う娘は帽子を被った子ミリアという子に挨拶をする。その言葉にその子は少し驚いてはいたけど、すぐに言葉を声をかけて
「ああ、さっきしつこい人がお母さんを虐めていたから退治したんだ。」
「え!凄いね!それにカッコイイね!!」
「あ、ありがとうだけど、今からお母さんと大事な話があるから、家の中で待っててくれるかな?すぐに終わるから。ね?」
そう言って私の方を向いて来たのでロナに家の中に入ってもらうように言う。
「ロナ、ごめんね少しだけ待っててくれるかしら?」
「うん、わかったよお母さん」
そう言って娘は素直に、家の中に入っていく。そして私は、このミリア達にその切っ掛けとなった事を話す。
巻き込んだことに少しだけ、罪悪感はあるものの、真剣に聞いてくれるこの大人びた子に話してよかったと思う。
その話を聞いてくれたから、ミリアという子は考えるように少しの間をあけて私にこう応えた。
「なら、提案というより私のお願いを聞いてくれませんか?」
「えっと、貴方の提案?」
「ええ、まだ私の事は開かせませんが、ここよりも住みやすい場所を提供できるのでそこにうってもらえませんか?時が来れば必ず、あなた方の助けにもなると思うので。」
そう言ってくれたことに対してこんな子供に話してもいいのだろうか?巻き込んで迷惑じゃないだろうか?なんて思ったけど、続けて私に告げる。
「ですので、まずはこれを受け取ってください。出来る限りの事は致しますので」
そう言ってくれる事が、私は少し嬉しくてそのミリアに話す。
「――わかりました。これは預かるという形でもっと置きます。」
「ありがとうございます。それからその町の名前とあなたの夫の―――」
私は話し終えると、ミリアという子が一緒にいたレニアという子に指示をして私たちが移り住む場所に向かっていった。何から何までやってくれることに、なんだか子供だとも思えなかったけど、助けてくれる事には変わりないと思って、その子の言動とかは、もう驚かないようにした。
そして私たちは、家の中で待機する為にミリアさんに入ってもらう。中には娘のロナが椅子に座って待っていた。扉が開いて満面の笑み出迎えてくれる。
「お母さんおかえり!!」
「ただいま、ロナ。待っててくれて偉いわね。」
「えへへ偉いでしょ〜、私我慢出来る子だもん!!」
そう言って抱きつくロナに私も思いっきり抱きしめる。あの出会いがなかったら娘はどうなっていたのかと思うも本当にこの子たちが来てくれて良かったと思う。
そうして、向こうで私たちを見つめるミリアさんがロナに話しかける。
「さっきはお母さんと離れさせてごめんね。それと、あなたとは自己紹介してなかったから改めて言うね。私はミリアって言うんだ。よろしくね。」
「うん!私はロナだよ。こちらこそよろしくね!!」
そう言って娘とミリアさんが言葉を紡ぐ。これからどうなっていくのかは分からないけど、いい出会いが出来て良かったと思うのだった。
◇◆◇◆◇◆
お読み頂き、ありがとうございます!
より多くの人に読んでもらうため
面白かったと思ったら『♡』や『★★★』とこの作品にフォローに応援コメント、よろしくお願いします!
〈あとがき〉
遅くなりましたm(_ _)m
ひとまずは、主人公ちゃんとの出会いイベはこれで終わりですね。(*^^*)
次回は、兄と悪役令嬢が多く出てきますので乞うご期待!!(*'▽'*)
それでは*˙︶˙*)ノ"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます