第6話


そう言って綺麗なカーテシーで挨拶をしてくれるソフィア様は、仮面を被って淑女として挨拶を交わしてくれるのだった。


私はそれを見て、何となくだけどこのシーンを見たような感覚を覚える。

(このシーンは確かチュートリアルの最初の場面だった気がする。ここでソフィア様がお兄様に一目惚れするはずなんだけど...)


そう思っていたけど、今のソフィア様は明らかに作り笑いの仮面をつけた姿に見える。何故そうなっているのかは分からないが、それなら好都合なのでは?なんて思っていた時―――


「ソフィア穣初めまして、この国の王子でアルフレッド・オルファーレだ、こうして会えたのが嬉しいよ。それにオルフィリア公も久しいな、会うのはあの日・・・以来か」

「そうですなぁ、殿下もお変わりないようですな。」


そう言って、親しそうに話しているが勿論どちらも目が笑っていないし、それにソフィア様は何やら少しだけ震えているようにも見える。


私が推測するに、私が1ヶ月の間にお兄様も誰かと入れ替わってから、私が城下町に行っている間にソフィア様とあっていたのかもしれない。それに初めましてと言った顔をソフィア様はしていなかったと思えるほどに、会った時から仮面を被っていたことは明白。


これは私が動かなくても、婚約なんて果たさないのではないのでは?と思ったけど、それだと本編でこのお兄様を断罪すると言う点においては、薄くなってしまうなので私は


「お兄様、私の紹介もしてはくれないのですが?お一人だけ話されると、私寂しくなります。」

「―――ああ、そうだったね。済まない紹介するよ、妹のミリアだソフィア穣も妹と仲良くしてくれると嬉しい。」

「はじめまして、ミリアです!ソフィア様どうぞ仲良くしてくださいね!!」

「――えぇ、よろしくねミリア殿下///」


私は元気よく裏がないように素直にソフィア様の手を取って挨拶をする。そうしたら少し戸惑った様子だったけど、少し照れて挨拶を返してくれた。


こんな素直な女の子で、眩しいほどに整った私の笑顔を見たらそうなってくれるとは思ったけど、今の歳だと女の子に対しては案外免疫ないのでは?と思える程にチョロい。


それからは、また先程と同じように仮面を被って淡々と、話が進んでいく。

やはりと言うべきか、この話し合いは婚約の手続きのようなモノで私も認知するようにということで呼び出されたのだと改めて理解する。


だけど、原作よりも何だが既に流れが変わっていることを私は密かに微笑みながら思う。

(展開的にはちょっと手を加えたかったけど、結果としていい流れには持って言っているようね)


それにこれはチャンスと捉えてもいい展開、私は皆が婚約の取り決めを承諾した時に、私はお父様、陛下に提案をしてみる。


「これで、一先ずはいいだろう。」

「―――お父様、私に提案があるのですが、発言よろしいですか?」

「なんだ?提案とは?」

「はい、ソフィア様が婚約者となられたのなら、王太子妃教育は必須となりますよね?そこでなのですが、私と一緒に執り行うというのはどうでしょうか?」

「お前と?」

「だってそうでしょ?私も王族いつ嫁ぐかも分からないですし、それにソフィア様の美しい所作を見ていて学びたいとそう思える程に一緒に習ったら私も恥ずかしくないと思えますもの、だからお願いします!!」


そう言って嘘とホントを混ぜながらお父様に頼み込む。それを見ていたソフィア様は最初驚いていた、だけどそれを聞いて少しだけ微笑むソフィア様は、どこか安心したような顔をする。


これで要求が通れば、少なからずお兄様との干渉も少なくなるはずだけど、まぁお披露目やパーティなんかは妨害できないからなんとも言えないでも、ある程度の私にとっての融通は聞くそう思い私は宣言した。


それに対してお父様は―――


「――ふむ、確かにそれは今後行う予定だったから、別に構わないがお前はそれで良いのか?」

「はい、私はこれからはこの中・・・で頑張っていきたいので構いません。」

「そうか....なら許そう。それで良いかなソフィア穣?」

「―――はい、問題ありません。」


そう言って承諾してくれるのだった。




   ◆    ◆    ◆




sideソフィア


わたくしはこの国で最も地位が高いオルフェリア公爵家の長女として生まれてきた。お父様やお母様、それに3つ上のお兄様に愛されて、育った。


国の為、自分の為、あらゆることを学んだ。


お兄様が行っている事業を知り、領地やその周辺のことなどを学び、マナーや作法なども必要になる為、優秀な家庭教師などを雇ってあらゆる事を学んだ。


それは決して、家や民草等を知るためもあるが、1番は自分の為にあらゆる状況にも対応出来るよう備えて身につけていた。


お父様からも『家族のことは二の次でも構わない、だけど決して自分の事は蔑ろにしないように努力し続けなさい。お前自身の幸せの為に』とそうお父様に、言われた。


子供の頃は、好きな物をねだったりして存分に甘やかされていたけど、色んなことを知って行くうちに、私もちゃんと皆を支えないとなんて思っていた。だけど、それには努力やそれに見合った技術を身につけないといけない事にその時は知らなかった。だけど、お母様もお父様もそれを教えてくれる使用人に色々としていたお兄様も、応援してくれた。


そして10歳となった時には、作法やマナーなどのあらゆる部分はもう家庭教師から、お墨付きを言い渡される程になった時に、お父様からこの国の王子であるアルフレッド様との婚約の話をされる。


娘としての優秀さは、領内だけじゃなく王都でも噂される程になっていた。だけど、それに関しては全然そんなふうに王子と婚約なんて考えていなかったから、言われた時は驚いてしまった。


でも国益やら色々な絡みがある貴族社会では政略結婚はそういった要素を含んでいるから、無下にもできない。


一先ずは保留として、お父様が近々王宮に向かうらしいので、無理を言って私はついて行くことにした。もしかしたら婚約の前にアルフレッド王子殿下に会えるかもと思って、私はわがままを言って、ついて行く。


幼少期以来の久々の王都で私は胸を踊らせながら、婚約者候補ではあるけど、凛々しいと評判の王子に会える事を私は少なからず思っていた。


そして王宮へとついて、私はお父様と少し離れて王宮の侍女に客室へと案内されてゆっくりとしていた。でも私は気になることがあったので王宮の侍女たち、今接客をしてくれている者達に少しだけ話をしてみることにした。


「ねぇ?貴方達、アルフレッド様はどのようなお方なのですか?」

「王子殿下ですか?そうですね。いつもお忙しくされていますね。あ!それから数ヶ月前に突然雰囲気も何処と無く変わられたような。」

「確か、姫様が突然我儘ではなくなった日の次に殿下も爽やかになられたと聞いたわ。」

「私は、殿下の専属侍女の様子が変わったとも聞いたわ。それを確かめる為にその子の所に言ったら、もう骨抜きの様にぽわぽわしてましたわ。」

「それは―――」


それを聞いて私はなんだかこの婚約は危険なのではないかと思えてきた。それに少し気になったのは


「アルフレッド様が変わられたというのと同時に、姫殿下であるミリア様もこの数ヶ月で変わられたというのは?」

「そうなんですよ!突然いつものような我儘ではなくなったんです。ソフィア様も知っていましたよね?姫様のことは」

「ええ、王国では珍しくない噂ですから」


そうこの王国では、姫は我儘ですぐに気に入らなかったら解雇するような人なのだ。だけど、上位の貴族の人はそれが意図的な物なのでは?なんと言われていて優秀なのに直ぐに怒りっぽくなる所が馬鹿なのかそう出ないかで、貴族の間で囁かれている。


本当に優秀と付ける人はハリボテの家庭教師だけではなく少なからず有名な教育者もそう言っていた。まぁすぐに辞めさせられるので勿体ないとは言われているけど。


そんな姫殿下が急に変わった


「それでですね?姫様のいる離宮では、今使用人や侍女たちが、天使やら妖精なんて言って付いたあだ名が〘陽だまりの妖精〙なんて呼ばれているんですって。」

「でも、私一度見たけど、納得出来るぐらいにあの微笑みは見た人を正しく妖精って感じさせるモノだったわ。」

「それ程に姫殿下は変わられたのですか?」

「もう別人ってぐらいもしかしたら、天使が姫様の中に入られたのではってぐらいにはね。」


そうを聞いてなんだか私はミリア姫殿下に会ってみたいと思うようになってしまった。殿方ではないけど、もしかしたらこの上なく可愛いのでは?と思う当たり私もまだ子供なのだなと思えた。


そして待つこと数十分、お父様が迎えに来てくれて王宮を出ようとした時に


「おや?こんにちは、初めましてだね。」

「え?はい―――」


私は振り向いてその声の人物の顔を見るとその人は、この国の象徴である紫の瞳をした私と同じぐらいの年の子が微笑みながら立っていた。


「これは失礼しました。アルフレッド王子殿下!!今から我々は帰る所だったのです。」

「いや、構わないよ。引き止めたのは私だからね、それに」


そう言って私を見るアルフレッド王子は、値踏みするように私を見つめる。その視線は幼い時に感じた不快なモノと大差ない程に感じ取れていた。


私が感じているのであれば、お父様もそれなりに感じているのかもしれない。まぁこの国の王族だから無げにもできないし、それにあの話が本当なら、アルフレッド様のこの態度や噂も少しは宛になるかもしれないと私は思った。だから


「私は、この婚約の話を今一度考えされてもらおうと思っております。アルフレッド殿下には悪いですが、まだお待ち頂くことになりますが大丈夫でしょうか?」


私はそうハッキリと伝えるとお父様は少し慌てた様子になったが、すぐに返事が帰ってきた。


「ふふ、構わないよ。第一候補であるソフィア穣の頼みなら」

「―――あ、ありがとうございます。アルフレッド殿下」

「殿下はいいよ。アルフレッドと呼んでくれた前」

「わ、分かりましたアルフレッド様」


そう言って、ヘビに睨まれたような感覚に陥る私


それは間違いなく憎悪に満ちた眼差しと、私の体を舐め回すような視線に危うく呑まれるのではと思った。


それからはアルフレッド様と離れ、馬車に乗って帰る。


「ソフィー、大丈夫だったかい?」

「ええ、あの一言で確信しました。あの方は私を――」


思い出すと、身震いしてしまう程にあの時の事が頭から離れない。だけど


「お父様」

「なんだい?ソフィー言ってごらん。」

「少しだけ調べて欲しいことがあるのです。それが終わり次第婚約の話の決着をつけたいと思います。」

「そうかわかった。それで調べて欲しいという内容は?」

「それは――――」


…………


………


etc



   ◆    ◆    ◆



そして婚約の申し出を決める日、私はその人物の事をある程度理解し、この婚約の申し出に参加して貰うべくお父様に頼んで陛下に同行を、促してくれるように、頼み込んだ。


お父様には、迷惑ばかりかけてしまっているからできるだけ頑張ってお父様を支えようと改めて思った。


そして王宮へとつき、私が調べて何をして何をなそうとしているあの方、そう姫殿下にお会いすることができる。


そう思い、王族が待っているであろう1番豪華で選び抜かれた関係者以外入れない。客室へとはいる。そこで見た私が調べてこの感情が何なのかは未だ分からないけど、助けになりたい会いたいと思った人の前に立つ。


あの時の噂と同じ紫の瞳をしたミリア姫殿下に






◇◆◇◆◇◆


お読み頂き、ありがとうございます!


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〈あとがき〉


遅くなりました!!申し訳ないm(_ _)m

ソフィアちゃんが調べた内容はその都度出して行く予定です。


次回は、原作主人公再び出てきます。乞うご期待!!(・∀<)☆キャピッ


(´・ω・`)/ソレデハ!!

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