紅の術師

〝お前はお前と同じように、生きる理由が分からない奴を、導くために生きているんだ″。 久世啓太は、師である東堂真由美の言葉を信念として生き続けてきた。
そう生きたいと願い、そう生きたいと焦がれ……そして彼は、赤に出会う。 この子に生きる理由を与える。そのために彼は、人生を懸けた。
そして巡るのは、彼女との年月。
師匠と対立し、別れてでも取った彼女の手を決して離さぬように。
ゆっくりと引いて、先を目指していく。
時に迷い、時に躓き。
上手くいかない事に困惑しながら、それでも彼は彼女を導く。
やがて彼を追う後輩も現れ、師匠の言いつけで弟子にも取らされ。
二人になった愛弟子たちと、笑ったり泣いたりして大人になっていく。
それでも、きっと、そんな時間は僅かだ。
将来を想う時間は増えても、いずれくる寿…続きを読む