第7話 恒久の闇と快楽①

「そこの三人、来なさい」


 私の指示で三人のメイドが集まる。この三人は一昨日、主人の甘味を運んでいた若いメイドを嫌がらせした結果、主人の怒りを買った者たちだ。これから彼女らには罰が与えられる。しかし、彼女達はそれを知らない。


「メイド長、私たちに何のようですかあ?」

「私たちも忙しいんです。早くしてださい」

「そこにいるメイド、追い出してくださいよ。仕事もできないノロマで私たち困っているんです」


 実は、今回の罰に関しては若いメイドにも見てもらおうと思い、吊るされるのを降ろしてから来てもらったのだ。この三人のメイドが怖いのか私の後ろに隠れている。


 それにしてもこの三人の態度だ。ここまで増長する前に私も気がつくことができていたら彼女達の運命を変えることができたのだろうか。いや、さっきの発言を聞いてもこの結果は必然だったのかもしれない。


「あなた方にはある仕事をしてもらいます。着いてきなさい」


 三人に着いてくるように命じる。今から連れて行くのは地下だ。地下牢のさらに下にある空間で、その場所を知っている者は屋敷でも少ない。知っているメイドであっても、今から向かう空間のことについては硬く口を閉ざしている。私としてもできれば立ち入りたくない。


「どんな仕事なんですかあ?」

「あなた方三人にとても相応しい仕事ですよ。本当にとても似つかわしいでしょう」

「具体的なこと教えてくださいよ」

「それは見れば分かります」

 適当に三人の質問を受け流して進む。地下にある空間なので比較的歩からなければならない。流石に、降りて行くる途中で彼女らも異変を感じている。


「これ、本当に大丈夫なんですか?」

「全く問題ありません」


 異変を感じていても、上司たる私の命令に逆らうこととできず、大人しく着いてくる三人が哀れに感じてくるが、主人の命令は絶対だ。しっかり反省するしか道は残されていないだろう。


「さあこの中に入るのです」


 一つの扉の前に立ち、鍵を開け入るように促した。三人は息を呑んでその部屋に入り、それに続いて私も入り、中から鍵をかける。これだけでも逃げる際の手間が一つ増え、何かあった時の捕縛が簡単になる。


「さあそこに座りなさい」


 床に正座するよう指示して座らせると、若いメイドに奥にある台車を取ってくるように指示した。


「さて、大変残念なことをお伝えしなければなりません。あなた方は調子に乗りすぎたようです。あの若いメイドを嫌がらせしたために主人の怒りを買ってしまいました。その罪、きちんと償わなければなりません。そのために皆さんをこちらに連れてきました」


 三人は突然の言葉のせいで呆気に取られている。


「そんなの、あのメイドが悪いんですよ。私たちが罰を受ける通りはないと思いますう」

「そ、そうですよ」

「あのメイドが全て罰をうけるべきです」


 三人は口々に責任を転嫁することを言ってるが、醜い。表情に焦りを感じる。残念だが、その顔はもっと絶望に歪むことになるだろう。


「お持ちしました」


 若いメイドが台車を持ってもどってきた。


「ありがとう」


 その台車に乗っているものを見て、三人が冷や汗を流す。ようやく自分たちがされることがちょっと理解できたようだ。だが、本番はここからだ。


「参考までにあなた方が今からしばらくいる場所をご案内します。こちらに」


 さらに奥に三人を連れて行く。若いメイドには台車を持ってくるように言っているので後ろからついてきている。


「この小さな扉は一体……」

「あなた方が過ごす部屋です」

「えっ?」

「ですから、あなた方がこれから過ごす部屋だと言っているのです」


 驚くのも無理はない。その小さな扉は人一人がようやく入れるか入れないかという長方形だ。この中に身体を折り畳まれて入れられることになる。扉も狭ければ中も当然狭い。この空間に入るメイドは稀だが存在する。私の知る限り、三人まとめてる初めてではあるが。




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