第2話 新人メイドの受難
「おはようございます旦那様」
「うむ」
朝は挨拶から始まる。挨拶はこの屋敷のメイドでなくても当然するだろうが、私たちはこの挨拶一つにも怯えてしなくてはならない。主人の気を損ねたらそこでどうなるのかわからないのだから。
をした者がいるようだ。主人は怒っていても感情を大きく表すのことは少ないというのに、それが起こっているのだから、多分だけど、怒鳴られたメイドはただでは済まされないだろう。
様子を見にいくことにする。重大事であれば、私たちも対処しないといけないこともあるからだ。それに私はメイド長だ。ある程度の処罰も覚悟せねばなるまい。
「どうされましたか」
すでに何人かのメイドが集まっていた。メイド達はその手にタオルや雑巾を持っている。
「こやつが私に飲み物をかけおったのだ。しかも熱い飲み物をだ!」
なるほどそれは確かに誰でも怒る。不幸中の幸いは怪我はなさそうに見えることだろう。これで怪我などあったら当該メイドは命が奪われることになるだろう。
「それは……申し訳ございません。メイド長たる私の責任もございます」
部下の責任は上司の責任ということでもある。
「別にいい。それよりもこのメイド、教育はどうなっているんだ。なぜひっくり返すんだ。それで笑顔でオロオロするなどふざけたマネをしよってからに」
「私の方からもしっかりと再教育を施します」
怒鳴られてその場で力なく座り込んでいるメイドに視線を移す。このメイドは出来の良いメイドとはいえなかったが、相当、主人の気分を損ねることをしたらしい。
「不愉快だ。そのメイドはしばらく晒しておけ」
「晒す場所と期限はいかがいたしましょう?」
「屋敷の玄関先にしよう。期限は二日だ。48時間さらしつづけるのだ」
時間の場所を決めておかないと、いつまでも懲罰が続くことになる。主人もそれを分かっているため、淡々と指示を出していく。
「それではそのメイドを晒して参ります」
床で座り込んでいるメイドを拘束すると強引に部屋ら連れ出す。
「いや……メイド長様やめてください。ご容赦ください」
「それは私ではなく、ご主人様に言うことです。最もそのようなことを言ってさらに怒りを買う結果になり、命が消えるかもしれませんが」
私もこう言う時には粛々とやっていくしかない。このメイドは最近入ったばかりの新人だ。それを織り込み済みで晒すと言ったのだろう。新人にはなかなか辛い懲罰の一つだろうが頑張ってほしい。
「では服を脱ぎなさい」
外に着くと、栗を外して服を脱ぐように指示する。メイドと渋々といった具合に丁寧に脱ぎ始めた。
「下着では不十分です。全てです」
そう、これは全裸にならなくてはならない。脱いでいる横で晒しのための準備をする。
「脱ぎ、ました」
すでにメイドは涙目だ。下着までも全てを脱いだメイドには首輪、腕輪、足枷のみがあった。横には晒し台を用意した。首と手を置くように指示してメイドと恐る恐ると言った具合に置いた。それを丁寧に施錠していき、足下も広げさせ、鎖を地面とネジで固定して人力では外せないようにした。日陰ではあるので屋外とはいえマシだろう。
「これは夜になったら外していただけるのでしょうか」
「何を言っているのですか。連続に決まっています。しばらくそこで反省するようにと言うことです」
その言葉に絶望的な顔になった。
「その、トイレとかは」
「下に桶を置いておきます。懲罰が終わったら自分で処理しなさい」
メイドの顔がどんどん曇っていく。このような姿勢で固定され全く動けないのだ。しかも主人は貴族なので屋敷に訪れる人も多い。すると、どのような扱いをされるか想像に難くないということだ。
私は晒し台の横に机を置き、その上にさまざまな道具を置いき、ご自由にお使いくださいと言う張り紙を書いてその場に放置した。
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