第22話
前方の真っ白な森林から、風を切るような速さで、耳を塞ぎたくなるような大量の蝿の羽音が迫り来る。地震と同じくらいの凄まじい揺れと共に、獣の群れの駆ける足音が近づいてきた。蝿と獣の大軍が近づくにつれ、徐々に森林からの腐敗臭が強くなりだした。
ぼくは、急いで森林の中央目掛けて、さっき覚えた技を使おうとした。
そうだ。この技の名前は鋼雲剣……。
何故か記憶の奥底からそんな名前がでてきた。
森林から大軍のギラギラした目をした蝿と獣の姿が現れた。
このままだと、城が崩壊する。
ぼくは剣を大きく振り上げて、頭上から振り下ろす。白い森林の大地にありったけの剣圧をぶつけた。
その剣圧に耐えきれずに、大爆発した地面はそのまま土や草をたまらず大空へと吐き出した。同時に、地面に叩きつけられて怒った剣圧が弾けて、光の矢となって、四方へ飛ぶ。
森林の形が大きく変わった。
草木は空へと根っこごとふっ飛び、続けて剣を振り下ろすと、大地が陥没し。そして、噴きあがる。
獣と蝿は破裂した大地に巻き込まれるか、光の矢で串刺しになった。
…………
「そんな……」
だけど、森林を覆う大軍には効かなかった。まるで、そよ風が蟻の大軍に吹き去った程だったのだろう。
足腰が、ガクガクと震えて仕方がないというのに、それでも大勢の蝿や獣がぼくの脇を猛スピードで素通りしていく。
これが……魔族の実力なのか……。
「あのなあ、だから言っただろ。いくら鬼窪王よりも強い素質を持っているっていっても、人間には疲れというものがあるんだぞ」
「あ、ああ……」
「でもな、秋野がこんなに強い意志を持っているなんて初めて知ったぞ。よーっし、ここは私が!」
「え?」
「うりゃー! 瞬間的強制休憩時間だ! 回復しろ!!」
「ええーー??」
宗教服の少女が両手の掌をぼくの方にかざした。
すると、ぼくの身体は突然疲れが吹っ飛んだ。
ナイツ・オブ・ラストブリッジⅡ ザ・ラスト・キャッスル アナザー・グレート・ストーリー 主道 学 @etoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ナイツ・オブ・ラストブリッジⅡ ザ・ラスト・キャッスル アナザー・グレート・ストーリーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます