一級のエンタメ文学作品

こちらの作品はブロマンスであって、BLではありません
しかし、第一話からそんなカテゴリ分けなどどうでも良くなるくらい、言葉の一つ一つが丁寧に磨き抜かれ研ぎ澄まされた上で組み合わされていく、とても繊細かつ雅やかな作品となっています

BLとそうでない作品の違いとは何か、諸説あると思いますが私個人としては
「男子をいかにリアルに沿わせながらギリギリのところまで理想像として書き切れるか」
究極的には「女性読者に夢を見させる作家としての力量のあるなし」ではないかと

その部分は作家の志いかんにかかっていると思われがちですが、センスを持たない作家には逆立ちしても読者を納得させるところまではいけません
この作品には(他の作品も同様に)十二分にその本物の力量があります

筆者の繊細な筆致は、最初の一行から目を見張るほど美しいです
そして一つ一つの言葉の配置の妙にぞくぞくしながら、読者は、その世界に身を投げ出すようにしてどっぷりと浸かっていく、そうせずにはいられなくなっていくのです

作者は駆け引きのような手を使って読者を誑かしたりはしません
そこのそれがそうあるように、自然に友情が生まれ、絆が強固になっていく、その流れに読者は心を預けて、いっしょに物語世界を駆けぬけていく
それは素晴らしい読書体験であり、快感です

この作品と出会えたことに、今は感謝しかありません

その他のおすすめレビュー

みかぼし🩵お休み中さんの他のおすすめレビュー472