一つのベンチ。ひょんなことから座り合う、クラスメイトの男の子と女の子。作中の用いられている、なんとも素敵な表現。それは『2人で1人づつ」いるという状態。昼休みの少しの時間の語らいですが……それぞれにとってとても大事だった特別な場所で、特別なドキドキが紡がれ始めますように……楚々とした少女の、飴玉みたいな甘酸っぱい秘密の始まりの日を、皆さまもどうぞ眩しく召し上がれ。
木々の狭間に、古ぼけたベンチがある。どういう理由でそこに設置されたのか分からない。白い塗装が所々剥がれ、自分以外、人が座っているのを見たことがない。自分の目つきにコンプレックスを持つ主人公にとって、そこは、安寧の特等席。でも、今日は───。ちなみに、よるべ(寄辺)とは、たのみにする所。よりどころ、です。ネタバレを避ける為、詳細は語りませんが、読後感が良く、ほわっと心があったかくなるような。───恋のはじまり。おすすめですよ。ぜひ、ご一読を!
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