第23話 迷信でもいいの

医療人なのに、私達は意外にも昔からの

言い伝えみたいな事を信じていた。


亡くなった患者さんのお通夜に医師と婦長は

参列してくるのけれど、その帰りに

病棟による、、。

そいで、おきよめの塩をガンガンに振ってくれと頼まれる。

こっちもバシバシにやる。

近年、亡くなった人は不浄ではないから

やらないと言う人もいる。

しかしながら、私達にとっては不浄と言う観念すら無い。

そう言う事では無かったと思う。

亡くなった患者さんへの気持ちを断ち切り、

これからの患者さんへ切り替えなければならない。

その想いだったと思う。


命の灯が消えそうになっている患者さんがおられると、潮の満ち引きを気にした。

当時、病棟の患者さん用に新聞をとっていたから、潮の満ち引きは見ていた。


また、なぜかわからないけれど。

亡くなる患者さんが自分の勤務で担当の時に

続く時がある。

こうした時は、近所の神社にお詣りに行ったりした。

やはり、患者さんの死に連続して直面するのは

精神的に負担が大きい。

人間だし辛く無い訳無いのである。


回復して退院される時の喜びはたまらない。

そうした時のるんるん気分はみんなも同じで

病棟全体が明るくなる。

仕事をそっちのけで見送る。


あ、あと、産科にベビーちゃんを見に行く人もいたかな。


気持ちってあるよね。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

看護についてのお話 菜の花のおしたし @kumi4920

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る