分水嶺

 現代を切り取った作品であると同時に、有史以来不変の題材に取り組んだ作品でもある。すなわち、妊娠や結婚が当事者に与える影響。

 主人公の心は千々に乱れ、誰かに代わってもらえるわけでもなく自分の責任で決断せねばならない。彼氏は良識のあるまっとうな人間のようだが、だからといって胎児を移すわけにはいかない。

 それでも、新しい命は生まれてくる。若き二人、ではない三人の良き門出を祈ろう。

 必読本作。