第2話 偽りの記憶
ボクは花の行商をしている父さんの手伝いをしていた。
幼い頃の曖昧な記憶は、各地を転々と旅をしながら二人で過ごしていた思い出ばかりだ。
今のように一箇所に留まり、我が家とゆうもので暮らし始めたのは、ここ数年の出来事にすぎず、父さんの云うところのお得意様のお陰らしい。
この国で一番大きな教会の一番偉い人が、定期的に多くの仕事を回してくれるようになったからと、聞いている。
それでもたまに遠出の大きな仕事もあったけど。
父さんと一緒に市場で仕入れた花々を各地で売り歩く日々。
いつでも空?世界?はとても青くて穏やかだった。
でもそれは全て嘘だった。
父さんは花売りなんかじゃなかった。
父さんの名前を知らなかった。
そもそも、父さんじゃなかった…。
彼は
彼が亡くなった今、その時の事をボクは思い出していた。
ボクは帝国ととなりの王国を隔てる広大な山脈の麓の寒村の生まれで、幼い頃から異能を発していたため村から追い出され、山脈の奥深くに隠れ住んでいた。
そのボクの前に突然彼が現れ、引き連れていた多数の従魔をけしかけ、服従をせまってきたのだ。
当然のようにボクはそれに抗い、持てる異能を駆使して彼の使役する全ての従魔を撃破したのだが、力つき彼に拘束されてしまった。
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