第7話 神の子

「アポストル聖皇王聖下、筆頭聖女殿が面会を希望しておりますが如何致しましょうか?何時ものように暫し待つよう申しあげますか?」

聖王国聖宮降臨の間の扉の向こうから、護衛の聖騎士の声が掛かった。


「かまわぬ、招き入れよ」

聖下と呼ばれた少年が、いつになく上機嫌に即答した。


「承知致しました…」

珍しい事もあるなと感じつつも護衛は静かに応えをかえした。



「失礼致します…」


暫しの後、に向かう様で待ち受けていた背後から声がかかり、


「聖皇王聖下さまにおきましては上々の…」

「良き良き、朕とそなたの仲ではないか、下らぬ口上は抜いて用件を申せ」


振り返った少年は、いつになく上機嫌で少女の挨拶を遮るように命じた。


普段と違う少年の態度に戸惑いながらも、気を取り直し少女は用件を話し始めることにした。


「…先程、治療の務めの最中に…」

「神託が降りたのだな?」



「…はいその通りでございます…」


「で、そなたの見立ては?」


「…わたくしめが思うに、無敵様に…」

「アレが死んだと判断したのだな?確かに御下に帰りし御魂の多くが、アレの所持していた異端と重なってるが」


「…そこまでお見通しなのですね、それでも聖下様にお伝え致すのが…私めの

重ねられたお決まりの言葉に、少年はにやりと笑い少女は恥ずかしげにその赤い瞳を伏せたのであった。

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