第3話 暗殺業

身動きの取れないボクを見下ろした彼は、こう言っていた。


「手駒を増やすつもりが、此奴一人に全て失うとは…無敵ムテキの名も掠れたものだ…だが昔のようにいくさをするわけではないのだから、此奴の圧倒的な対戦力を使い暗殺業でも始めるとするか…」と。


それから彼は何らかの力を使ってボクの異能を調べ上げ、反抗のおそれにつながる異能をいくつか封印し、放たれた異能や敵対者を喰らい消し去るだけの捕食ホショクを使う従魔としてボクを仕立てあげたのだった。



裏の組織を通して依頼を受け、見合った報酬で期限内に人知れず人々を消してゆく。



強欲な商人であったりたちの悪い領主であったり、対象者は様々なものだったが報酬が高額であったため単なる復讐とかの類は少なく、時には大きな取引の書類や重要な証文などもあった。


その頃は、帝国の各地を転々としていた関係で自分たちの行動の記憶と認識はあったはずなのだけど、ある時隣国の重要人物の暗殺を受けた時から、すっかりと様変わりしてしまった。


定住を余儀なくされ、あまつさえ仮初めの仕事仮初の関係を持たされ、整合性を保つため、ボクには偽りの記憶さえも植え付ける事となった。




暗殺依頼の仕事を受けて以来、初めての失敗となる聖教王国の教皇暗殺から。









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