無限大に凍りつき溶け去って

 もう四半世紀ほど前になろうか。

 臓器移植絡みで、哲学者や医学者達が脳死をいわゆる生命全体としての死とみなすかどうか激しく論争したことがあった。

 その結末や是非そのものは、ここでは触れない。ただ、議論すればするほど死についての明確な定義が複雑になっていったのは間違いない。

 本作においては、半ば強引に死神となった主人公が一癖も二癖もある他の死神達とともに様々な仕事や課題をこなしていく。

 冒頭で示したとおり、そもそも死という概念は一筋縄ではいかない。だからなのか、本作の死神は誰も彼もが大なり小なり屈折した何かを抱えている。

 作者一流の麗しい筆致で描かれる彼らは……恐るべき悪魔の干渉を交えつつ……ときに冷たくときに熱い。

 必読本作。

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