金木犀の夜

美しいさと曖昧さは苦悩を産み出し、だからこそしっとりとした甘美なる恋。

僕はこの物語がすごく好きだ。

恋をみれば苦しくて、快楽をみれば溺れてしまう、だけど纏う空気は柔らかく、薫る匂いは愛おしく、透き通った時間は忘れがたく、穏やかで、焦げる想いは、どこまでも甘い。

捉えどころのない愛程、抜け出せないものはない。不確かな言葉程、かき乱されるものはない。雨音は罪作りで、心許ない揺らぎは、なにひとつ掴めない。

穏やかに、優しくて、不確かに、得難くて、狂おしい、切なさは、どこに行けばいい? そんな感傷的な夜を何度過ごせばいい?

焦がれる束の間だけを追いかけ、終わりも始まりも知らなくていい。

そんな想い。

僕はこの物語が好きだ。

筆者様に敬意を示し、きのこ帝国の「金木犀の夜」をタイトルに。

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