「失敗だらけの夏が、どうしてこんなにあたたかいんだろう。」

この物語は、ちょっとドジで、でも愛しくて仕方ない夏の思い出をめぐる、誠司と久留美のとある日常。濡れてしまった花火、クラゲに刺される海の記憶、突然のドライバーデビュー(?)など、二人のやりとりはテンポよく笑いを誘いながらも、ふとした瞬間にあたたかさがにじみます。

会話のやり取りは軽やかで、読んでいるうちにまるでそばで話しているのを聞いているような気分に。思い通りにならないことばかりでも、なんだかんだ言いながら笑い合える二人の関係がとても心地いい。

ラストに描かれる言葉が、何気ないけどとてもやさしい。特別なことはなくても、大切な誰かと笑い合える——そんな時間がいちばんの宝物だと感じさせてくれる一作です。

ちょっぴり騒がしくて、でもやさしい夏の終わり。
そんな空気をまるごと包み込んだ、微笑ましい日常物語。

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