その歌は呪いなのか、それとも……。
仲間内のちょっとしたノリのつもりだったカラオケルーム404号室での出来事が徐々に恐怖へと変わっていく。
一気に押し寄せるわけではなく少しずつ平凡な日常を侵食していく恐怖は、誰にでも起こりうるものに思えるために読み進めるにつれて他人事とは思えなくなる。
実際に描写される恐怖と、この先どうなってしまうのだろうと想像を刺激される恐怖の二面性がまた面白い。
一つの都市伝説を巡る人間模様が巧みに描かれており、後半に進むにつれて読む手が止まらなくなる。
まだまだ暑い日が続く今、是非とも手に取ってもらいたい作品。
これは一人の少女の死から始まる、恐ろしくも切ない呪いの物語。
友だちとの楽しいカラオケのはずが、"その歌"を口にしたために悪夢へと変わる。
一人また一人と命を奪われていく仲間たちの姿は、目を覆いたくなるほど生々しく恐ろしい。
でも、この作品の魅力は、ただ怖いだけではありません。
都市伝説と生きた人間の怨念が複雑に絡み合い、謎が少しずつ明らかになっていく展開に引き込まれます。
個性豊かなキャラクターたちの、切なくも懸命な姿にも心揺さぶられました。怖いのにいつの間にか物語の世界にどっぷり浸ってしまう。
すべてが腑に落ちる結末も素晴らしく、読み終えた後は深い余韻に包まれました。
「ホラーってこんなに面白かったんだ!」そう思える、読書の秋にぴったりの良作です。