惑星の女神たちが恋をすれば、星の安寧が保たれる。その星に住まう人々の知るところでない神域で、彼女たちは今日も甘い溜息を吐く――はすが、水星の女神であるメアリは恋を知らない。そのせいで荒廃した水星の大地で暮らす人間たちを憂いながら、恋をしない落ちこぼれのレッテルを貼られ、魔神ディドウィルに不本意な執着をされる日々。そんな彼女がある日出会ったのは、人間の青年だった――。
在りし日に読んだ少女漫画を彷彿させるような純度の高いキュンキュンが幾度となく浴びれます。女神が恋をして世界の平和が保たれるって設定がまず面白いですよね。まさに「世界を変える運命の恋」です。
メアリたちは七人姉妹ということで、個性豊かなキャラクターたちがたくさん出てくるのですが、その誰もがきちんとキャラ立ちしているのがさすがだなぁと思いました。文章自体がとても読みやすく、ぐいぐいと読者を惹き込んでいく。過度な文字圧は感じないのに情景が浮かぶような優しくすっきりとした表現力もお見事でした!
「とにかくキュンキュンしたい!」「美しい乙女たちの活躍が見たい!」
そんな方にぜひおすすめの一作です!ご一読あれ!
主人公は女神さま。
この世界では、女神さまは恋をすることで、それぞれが守護する大陸を栄えさせるちからを持っています。
だから主人公も、恋をしなくちゃ、と思い詰めています。
でも、上手にできない。
それで落ち込んで、ずっと自信を無くしていて。
だけど、あるとき出会ったひとが、すべてを変えてゆきます。
変えるのは、ふたりのちからで。
まず、ね。
この、恋が大地を、世界を護る、っていう世界観がすごい。どこからこんな発想が出てくるんだろうと、恋愛脳をどこかに置き忘れて生まれたわたしなどは震えるのです。
そして、恋をしなきゃ、恋ができない、って悩む、自己肯定感の低い女神さま。人物像……神さま像の描写も丁寧で、すっと寄り添うように共感することができます。
出会いにより、女神さまは恋を知ります。
恋するこころを、思い出してゆきます。
その過程の、なんと愛らしくいとおしいことか。
悪役も出てきます。
わくわくする、手に汗を握る展開もあります。
でも、わたしはとにかく、自分のこころに不器用な女神さまが、恋を知ることで少しずつ少しずつ成長してゆく、強くなってゆく、その過程がなんとも、身を捩るほどに嬉しかったのです。
どうか、みなさま。
女神さまといっしょに歩いて、その成長を見守る。
そんな素敵な体験をしてみませんか。
僕は筆者様が近況ノートに予告として出されていたキービジュアルを見て、「この子持って帰りたい!」と危ない気分にさせられました(笑)。
それだけ素晴らしいビジュアルイメージでした。もはや書籍化しそうな勢いです。ちなみにこちらの筆者様は、カドカワ読書タイム短編児童小説コンテストで、優秀賞をお取りになっておられます。その実力は折り紙つきです。その上で今作用にと作成されたビジュアルの完成度、けしからん才能だらけの方でございます(笑)。
さてこの物語、壮大なスケール感で書かれておりますが、僕は敢えてシンプルかつ端的に書かせてもらいますと、ずばり可憐で可愛らしい「初恋」の物語です。
女神や大地や世界や運命、そういう壮大さとは別に、ひとりの恋を知らなかった女の子が戸惑いながらもときめいて、「恋を知り、愛をつかむ」、そういう健気で素敵な物語です。
そして、そのお相手の男性の語る言葉にも注目して下さい。人生を生きる上で、とても大切で揺るぎない素朴な言葉をたくさん語ります。これは耳障りのいい恋のささやきとは違い、とても誠実で真心のある言葉です。こういう男性は素敵です。
お勧め致します。
初恋を思い出し、思わず応援したくなる可憐なヒロインが出て来る物語。勿論、思わず持って帰りたいと思った僕はこちらの物語を応援致します。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
本当に世界を変える恋というのは、
こういう話なのかと思いました。
なにせ、主人公は土地を守護する女神様。
しかも、その女神の恋によって土地が豊かになるか荒れるかが左右されるというとんでも仕様。
しかも、主人公はまだ恋をしたことはない。
恋をしたことがないとなると、土地は富むことはなく荒廃していく……。
他の女神が代わりに土地を守ってくれてるような状況。
正直、最初読みながら思ったのは、物語だからまだしも、この世界には人間として住みたくないな……でした。
ええ、神様の恋愛なんて激しくてなんぼ、絶対にしんどい。けど、その世界の人間たちは逞しく生きているのです。
実際に主人公である水の女神メアリは恋をしたことがないのがコンプレックス。
常に自信はなく、落ち込み続けてる常態です。
私が彼女の立場なら、この制度にした世界に怒りちらします。でも、健気な彼女は自分を責めます。
読めば読むほど、本当に良い子です。
そんなメアリがある時、自分の土地に降り立つと、一人の青年に出会います。
それが、メアリの初めての恋、まさに運命の出会いですね。
これによって、メアリの物語が始まっていきます。
メアリの姉妹の女神たち、月姫、そして、厄介な魔神。
様々な個性的な登場神物達、本当に最後まで壮大な初恋物語です。
是非読んで欲しい作品です。
女神が恋する事により、世界は育まれる。
水星の女神として生まれたメアリ。
それまで恋を知らず、水星の大地は荒廃へと向かっていた。
どれだけの男性を前にしても、恋なるものに辿り着けないのだ。
女神の恋が世界に安寧を齎すと言っても、その恋が理解できないメアリには難題で、落ちこぼれの女神とすら揶揄されていた。
では、恋とは、なんだろうか。
恋とは、落ちるものだ。
気晴らしに降りたメアリは、一人の人間の男と出会いその瞬間を実感する事になる。
恋をした女神のため息が薫風となり大地を潤す。
この表現だけで、女神の恋の偉大さが実感できる。
恋の芽吹きと、育みを同時に実感できるような、澄み切った文章が作り出す世界は、神々の恩恵を受けた幻想的な風景を堪能できる事間違いなし。
女神であるメアリの恋の行末がどうなるかを、ぜひ見届けて頂きたい。
オススメです。