飯テロ✕社会派ドラマ トマトに拘る彼女が追い求めていたものは?

 起業して、恋人もいて。
 一見、順風満帆に見えるアラサーの主人公、久保澪は、心の中に空いた小さな風穴を塞ぐべく、毎日トマトソース料理を食べていた。

 トマトソースが唯一、生みの親と繋がる手段だったから。

 同じように恋人の相川正も、女性社員の井部も、複雑な過去を抱えながら生きていた。

 そんな彼らがフリージャーナリストの江原に付きまとわれるようになって······
 
 複数の負の感情が絡み合った現在は、まるで知恵の輪のように複雑で解き難い。
 それでも、真っ直ぐに向き合った先に出会える小さな『納得』を得るために奮闘する澪さんがかっこいいです。

 小さな『納得』は解決とは程遠いけれど、少なくとも明日を生きる糧にはなってくれるはず。

 誰にでも意識的に、時に無意識に『拘らざるおえない事柄』があって、それはその人の心の根幹を支える大切なピースなのだと思いました。向き合うことは大変ですが、蓋をしてはいけない、そんな気づきをくれた物語でした。
 お勧めです!

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