北の虹風 なぞ?なぞ!学校編 ~夢見るおしごと改革?~

根⛵九里尾

第1校時 評価と成績

第1話 晴天の霹靂

 いつも通りに目が覚めた。


 僕は、比較的朝は強い方なので、目覚まし時計は、まだ鳴っていない。

 壁の時計を見てもまだ余裕があった。


 ゆっくり起き上がり、頭を掻きながら下の茶の間に降りて行った。


「……ん、あー……おはよう、大地だいち


 いつものように、姉の声に返事をしようして顔を上げた時、僕は思わず両手で目をこすってしまった。


「ね、姉ちゃん!何、それ?」

 姉の頭のあたりを指さしたが、姉は何の反応もしなかった。


「え? 何言っての。早くしなさい。学校に遅れるわよ」

「あ、ああ。でも……」

と、言いつつ、隣の父親を見ると、同じようになっていた。


 慌てて、台所にいる母親を見ても、やっぱり同じだった。




「(何だ?いったいどうしたんだ?…………あ!)」



 僕は、急いで洗面所に走った。洗面所の鏡を見て、腰を抜かしそうになった。


「ああああ~~………」




「大地、何を変な声出して、いいから早く食べなさい」

 母親が、茶の間で何か言っているが、自分にはもうどうでもよくなっていた。


「あいつは、どうかしたのか?」

 父親の声も妙に平然と聞こえた。


「さあ~、職業病よ、きっと。昨日も夜遅くまで、成績付けやってたみたいだからねー」

 姉も、一向に気にせず、さっさと朝食を済ませて、出かけて行った。


「大地も早く食べて、学校に行きなさい」

 母親も食事の準備だけして、さっさと洗濯を始めてしまった。


「…………………………」




 僕は、しばらく呆然としていた。


 それでも学校に行かない訳にもいかず、朝食もそこそこに、自分の頭の上あたりを気にしながら、職場に歩いて向かった。



 僕は、北野大地、27歳独身だ。憧れだった教師になり、虹風小学校に勤務するようになって、ようやく5年目になる。すべてが順調だと思っていたのに、こんなことになるなんて……


 青く晴れた6月のそよ風も、今日はなんだか冷たく感じてしまう。


(つづく)

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