真っ当に生きていれば、きっといいことがある。そう思わせてくれる物語

一見、よくある剣と魔法の世界のファンタジーに見えるが、そんな簡単な言葉でこの物語を語るのはもったいない。
読み始めれば、卓越した文章力と、練り込まれた世界観、そして様々に織り上げられた人間ドラマに引き込まれること間違いなし。

主人公のシドは、長年「やっと一人前の冒険者」という程度のシルバーランクの中年冒険者。
その胸にあるのは、上のランクに上がれずにいることの証である、くすんだ銀のバッジ。

彼を知らない人間は、その銀を揶揄する。だが、彼と時間を共にしてきた人間は、彼の人柄、その隠れた功績を知っている。
そこに至るまでの物語と、これから紡ぐであろう物語をしたくなる。

これぞ王道ファンタジー、物語の力だ。

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