雪原の足跡は、どこへ向かうのか。
- ★★★ Excellent!!!
冤罪をかけられ、祖国を追われた青年ウォルフは、雪原の中で《機甲人形》の少女、フレドリカに命を救われる。
二人は様々な出会いと別れを繰り返しながら、逃亡の旅を続ける。その先に、安息の日々は訪れるのか――
この物語を読みながら、架空の世界で生きる架空の人物の生き死にに、どうしてこんなにも心を動かされるのだろうと考えていた。
彼らは、特別な力を持つのでもなく、選ばれた英雄でもない。不甲斐ない己を背負い、歯を食いしばりながら進んでいく。
彼らに降りかかる暴力は理不尽で。しかし、暴力も死も、元来理不尽なもので。
だからこそ、彼らの無事を、その先の平穏を祈らずにいられない。
散っていった者たちにも、思いを馳せずにいられないのだ。
架空の物語だが、彼らは確かに、生きている。
願わくば、彼らの旅の先に、安息がありますように。
彼らの物語を、最後まで見届けたいと思う。