おてもとにご注意

鈴ノ木 鈴ノ子

おてもとにごちゅうい


 どこぞのファミリーレストランの座席にいた。

 

 目の前に おてもと と書かれた箸袋に入った箸が置かれている。

 

 それ以外には何も置かれていない。

 

 ただ、目の前に箸が置かれている。

 

 私は箸袋から箸を取り出してみた。


 利久のどこにでもある箸だ。


 バサリと音がした。


 目の前には冊子が一つ、いつの間にか置かれている。


 箸を袋に戻して、私は両手で冊子を手に持つと、胸元まで引き寄せた。


 表題に、ただ一言、メニューとだけ書かれている。


 最初のページを捲ると、表紙裏に店舗紹介のような但書があった。


『当店にお越しくださり、誠にありがとう存じます。

 

 多種多様な食材を取り揃えております当店は、どの様なお望みにもお応えいたします。

 

 左ページの「」におてもとの箸にて食べたいものを空書してください。

 

 すぐにお作りさせて頂きます。』

 

                      


 ※ なお、


 

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おてもとにご注意 鈴ノ木 鈴ノ子 @suzunokisuzunoki

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