第9話:英華霊秀血戦都市《トウキョウ》後編
首都中央駅馬東京を起点とし、環状山手線に張り巡らされた不可思議な力場、
機関の頭脳御園生詩葉を含む江都東京都民をその内側に閉じ込めた。
これに対し、対電波放送局は
要人、天皇皇后両陛下、内閣総理大臣、そして局長の安否確認と回収を主とし、
緞帳の終息を最終任務とする内容での派遣である。
現在時点では天皇皇后両陛下の安否、局長の安否のみ確認。
永田町、首相官邸に向け針路を取っている。
しかし障害も多い。
『アラート!英霊反応、数4。正面距離180。』
「来るぞ、2人とも、フォーメーションを崩すな!私がバックアップ、噛崎がフォワード、城は汎用AIの指示と自身の意思で立ち位置を変えろ!補給が見込めない、最短距離、最小消費で駆け抜けるぞ!」
「「了解!」」
『英霊反応、フローレンス・ナイチンゲール、弥勒、舩坂弘、項羽、強襲。』
モニターに映る4つの光点。
それがそれぞれ
識別は……|
どれから討つべきだ……、どれだ。
その時、無線が入る。
「いいか、不死身の舩坂は後回しだ、幾度甦られてはキリがない。次いで項羽。三国の武将も手強い。後回し。最後だが、恐らく弥勒……は陰陽師の類いだろう。面倒はあとだ。よって狙うはクリミアの天使フローレンス・ナイチンゲール。だが、警戒を怠るなよ!念の為戦闘開始を告げておく!」
餘目曹長から指示が入る。詳しい。かろうじて聞いたことがある程度だ。そしてその曹長が行ったであろう、脅威判定が更新される。
モニターには壱から肆まで採番された。
ババッ!バンッ!ババっ!
白ふたつ、赤ひとつ、白ふたつ。信号弾を撃ちあげる。
程なくして無線が入る。
「みんな?大丈夫かしら、戦術作戦課の
栗花落さん。よく玄月2尉と、話すのを見る。
互いに信頼しあっている素晴らしい仲間だと思う。
ありがたい、これでも思う存分戦える。
「聞いた通りだ!行け、噛崎!」
「ほいきたさぁー!」
噛崎1曹が刀を抜き放ち、果敢に切りかかる。
「閃!」
ナイチンゲールと識別された
早い。英霊と結ばれてすぐだと言うのに。使いこなしている。否、取り憑かれている。
あれが英霊との
「来るぞ城!構えろ!」
っと、見惚れている場合じゃなかった。次点の攻撃対象、それは。
「弥勒!とっととコアを出しなさい!」
あれはなんだ。……紙?紙に防がれている?ならば!
「兵装換装
燃やし尽くすほどの爆発ならばどうだろうか。
栗花落さんが送るドローンが見える、撃ち尽くしてしまおう。
マガジンを全て放つとドローンから弾倉を受け取りリロードをする。
爆煙が晴れる。結果は非。まただ、あの紙に阻まれた。
「式神……の類だろうな。恐らくはあの紙は式神だ。呪力や術が込められているのだろう。酷使してすまない,噛崎行けるか!?」
ナイチンゲールの蒸気から
片方のワイヤーを外し回転力をつけ刃を振るう。
「鬼を斬り、神を葬る二対の刀。物の怪調伏なら奴の刀が最適だろう。」
そこまで、あの一瞬で判断するか。小隊長とは、全てを見通してこそなのか。
でも、調伏する側であって果たしてそれは効くものなのか?
答えは直ぐに見えてきた。
盾の様に式神が正面に集まる。そこに突っ込む噛崎1曹。
高速回転しながら式神を掻き分ける。
「来るぞ城、逃がすなよ!」
見える一筋の隙。
訓練機の肩を掠めてシモ・ヘイヘの弾丸が突き抜ける。
弥勒の表皮を……撃ち貫いた!
「見えた!コア!
連携で出来た好機を逃す事は出来ない。
一意専心。狙うは破砕。
再度マガジン全てを撃ち尽くす。爆煙と共に蒸気が辺りを染めていく。
「弥勒もクリア。次は……。」
「三国志の武将、項羽だね~。有名どころだと四面楚歌。劉邦に敗れた逸話があるはずだけど。」
勉強不足だ。何もわからない。かろうじてナイチンゲールだけわかったが。
「噛崎……すまん、気づいてると思うが……。」
しばし沈黙、そして。
「うん、気付いてたけどさ、これ
モニターに映る壱番機のコックピット内の様子。顔をそむける餘目曹長の姿が。
それが最善だとして噛崎1曹に4戦フォワードをやらせるという事だろう。
「武人には武人。まぁ、ボクしかいないよね。よし、逆二刀右足前の構え!」
右足を前に出し、右手の刀を突き出し、左手を頭上に掲げる。
あれは、二天一流の構えなのか?固唾を飲み込み結果を見守る。
項羽と称される
じりじりと距離を詰める噛崎1曹。そしてその時。
瞬間。刹那。言葉にすれば一瞬の出来事。
切り抜けた。
塵となる項羽。その蒸気から弐番機が歩いて出てくる。
「ふへぇ。さすがにきついけどあとひとつ残ってるんだよねぇ〜。」
強過ぎないか。あの刀、あの
単独で英霊反応というイレギュラーを3つ切り伏せた。
強すぎる、いや、弱すぎるのか?
なにか違和感を覚える。
「最後だ噛崎!不死身の舩坂、甦る間を与えるな!」
「どっこいしょだよも〜!行くぞ〜っにゃっ!」
噛崎1曹の立体高機動は小隊内でもトップクラスの異次元さ。
ビルとビルの隙間を瞬く間に駆け抜ける。
それも授業で習わない肘からのスティールワイヤーを織りまぜて。
早すぎる。同じ機体でこうも違うものなのか?
それとも訓練機だからオミットされているのか?
「城、気をつけろ。あれは瓦斯の過剰使用だ。だからこそあの速度で空を駆けている。噛崎は補給があるから全力で飛んでいるんだ。本来ならば節約すべきものだからな。一応覚えておけ。」
「りょ、了解しました。」
ビルの隙間に出た
それにしても相手も異常だ。
切ったところから
不死身と言われる所以か?
しかし再生を上回るスピードで切り込む。
「2人とも、そろそろ出るよ〜」
「城、照準合わせ!」
「はい!」
コアが露出……した!
噛崎1曹が離脱したのを確認し
手強い……コアすらも回復するか……でも!
撃ち切りを見計らうかのように、ドローンからマガジンが落ちてくる。
栗花落さん、流石だ。緞帳があっても見えてるんだ。
左手でマガジンを受け取り、リコイルライフルのマガジンを落とす。流れそのままに、差し込み
蒸気を確認。殲滅した。
それにしてもこんなに簡単なのか?おかしい。激しく胸が鼓動を打つ。
「AI脅威判定。」
『イエスマム、判定無し。』
ふむ、やはり全て倒している。
餘目曹長は進行の信号弾を打ちあげている。
次は首相官邸だ。永田町に向け再度走り出す。
どうだろう。胸騒ぎがとまらない。
具申するべきだろうか……。
でも倒した訳だし、いいのだろうか。あの小隊長の曹長も進み出している。もういいのだろうか。
いや、行こう。任務は待ってくれない。
東京駅から永田町もそう遠くはない。
周囲を最大限警戒しながら、街を征く。
途中、ドローンから背面ユニットを受けとり噛崎1曹の瓦斯を交換する。
背面とはいえ後面に飛び出したコックピットユニットの下部分。バーニアをノズルごと交換する。
高濃度に圧縮された瓦斯を噴出する装着。
カタログスペックでは1出撃で1ユニットを想定した量が補充されている。
それを先の戦闘で空にした。あのスピードだ当然だろう。
ユニットを道路に置き先を急ぐ。
メインモニターに映るナビに従い街を走る。
異常は……無し。先の戦闘以降順調に永田町へ向かい歩みを進めている。
「AI、先までの戦闘を記録。分析。」
『イエスマム、分析開始。』
法則性があるかもしれない。
ダメだ胸騒ぎが集中を乱していく。
首を横に振り頬を叩く。
今は目の前の事象に集中しないと。
見えてくるは、国会議事堂。
ここまで来ればゴールは近い。
議事堂を右手に進みその奥、見えた、首相官邸!
官邸敷地内に入り人を探す。
……やはりいる。護衛のSPだろう。
「ではいってくる。万が一に備えていてくれ。」
「イエスマム、お気をつけて。」
餘目機のコックピットブロックがせり出し灯が消える。
予備電源にて稼働するワイヤーロープで地上へ。
そこからは先程と同じく所属を明かす。
「こちらは、対電波放送局トロイメライ餘目遥曹長である。任務により、この緞帳内の要人の安否確認を行っている。単刀直入に聞く。内閣総理大臣はご存命か?避難は完了し安全が確保されているか?」
手帳を見せ、警戒するSPに説明をする。
やはりこちらは望遠で音を拾う。
「お疲れ様です。総理は現在地下シェルターへ避難が完了しております。過去に陸自より開示された情報をもとに、浸蝕されそうなものは無い安全と思われる場所に避難されています。」
「了解した、引き続き警護を頼む。我等はこの緞帳の開放の為次の任務に向かう。それでは。」
良かった、首相も無事。これで次は局長だ。
地図によると……BPOはかなり近いな、議事堂を挟んで反対側か。
機に戻った曹長から指示が来る。
「聞こえていたな?首相は無事だ。次の局長を迎えに行くぞ。場所はBPO。その前に信号弾だ。」
安否確認完了の信号を空に打ち上げる。
発光確認後踵を返す。
議事堂裏手を進む。
程なく無線が舞い込む。
「みんなよくやったね。後は局長と、事態の収束だ。非常に厳しい任務となるが引き続き頼む。」
「さらにドローンを展開します。受領してください。」
さらにはAIからの反応も返ってくる。
『脅威測定分析完了。規則性無し。』
ふむ、あの4体の敵は英霊反応こそあったが、ただの
『追加報告。先の戦闘
まぁだと思った。英霊反応があるなら
問題はこれからの戦闘で、味方識別という誤作動を起こさないかどうかだ。
味方と識別すればターゲットロックが出来ない。マニュアルで狙わざるをえないが、私にはそこまでの技術はない。
「AI、結果を僚機に送信。」
『イエスマム。』
とりあえず戦じゃ役に立たない以上少しでも情報で役に立ちたい。
「城か?助かる。よく分析したな。味方識別になった以上銃火器主体の我等は戦いにくいだろう。そうなった場合は……。」
「知ってますけど!?またボクですよね!?勘弁してよ~……。」
ああなるほど。近接武器であればという事か。
ちょっと不憫でならない。噛崎1曹戦いっぱなしである。
ふふふと笑いながらBPOを目指す。
緊張続きの緞帳戦で少しほぐれた気がした。
本来緊張が正解だが、しすぎるのは逆効果だろう。
若干の談笑を交えつつ、私達はBPOへとたどり着く。
「コールする。……局長、餘目です。BPO入口へ辿り着きました。お迎えに行きましょうか?……こちらに来ていただける?ではお待ちしております。」
そこで待ってたんじゃないかって速さでBPOから局長が飛び出してくる。
お乗りくださいと、曹長は手を差し出し、コックピットブロックを開放する。
そのまま胸まで持ち上げ局長を収容する。
モニターに曹長と局長が映る。ほっとする。漸く予定されていた任務の前半が終了した。
「んっと、狭いわね。1人乗り用だから仕方ないけど。みんなありがとね迎えに来てくれて。さてでは事変解決へ乗り出しましょう。今ある情報を全て頂戴。」
私はAIに分析させた緞帳侵入から今迄の情報を壱番機に送る。
「ふうむ、敵の情報のみで、緞帳の情報は追加なしか。厳しいな。」
あの局長でもこの情報の少なさじゃ何もできないか。
今頼れるのは局長のみ、戦術作戦課はこちらからでは応答が無いからだ。
「ひとまず信号弾を上げる。」
五灯式の進行を打ち上げる。
「確認しました。現在思い当たる節があると玄月2尉が不在ですので、私。栗花落の方で作戦の進行度を更新します。」
思い当たる節がある?このなにかもわからない緞帳について、今までの解析から?
いやこちらの解析は送られていない筈。なんだ、なにを見つけた?
思考をめぐらすその時である。
『アラート!
AIが答えなかった!?なんだ、何が来た!?
「全員円陣にて警戒!」
局長指示のもとすぐさま陣取る。
すぐさま各機AIによる目標探査が始まる。
餘目曹長。
「クリア。」
噛崎1曹。
「クリア。」
そして私。
「クリ……。」
『目標確認、正面距離0。』
無線を聞いた全員がこちらを振り返る。
距離0、それはもう浸蝕されている!?
しかしそうでなかった。
「城さん、肩に……黒猫が。」
「気をつけろ!それが英霊反応の
勢いよく振り払うが落ちない。浸蝕を恐れず腕を使い掴もうとする。
つかめない。異常はそれだけでは無かった。
特異だ、特異体だ。今までに観測のない個体である。
そう、
私の機の目を見つめ、語りかけてきた。
「ごきげんよう、異端の命。ご健勝そうで重畳。
「無線に割り込んでくる!?城さん、浸蝕はない!?」
「は、はい、現状浸蝕状況0%。異常個所無しです!」
何もなく、そう、何事もなく時間が過ぎる。
また、口を開いたのは自分を
「
肩から飛び降りたと思ったら消えた!?
「AI目標探査!」
『イエスマム。……英霊反応、フローレンス・ナイチンゲール、弥勒、舩坂弘、項羽、強襲。』
なんだって!?
猫をの会話中に囲まれた!?
しかも、さっき倒したはずの敵が再び!?
「みんな聞いて。さっきの猫の言う通りなら緞帳の答えは分かった。でも今は目の前の敵。船坂弘が蘇ったは納得がいくけど、他がおかしいと私の頭が言ってるの。多分だけど。確証はないけど。クリミアの天使、ナイチンゲールが看護師という事もあり、治療したが正しいのかもしれない。」
だとすればどうすればいい。船坂を倒せば復活する。ナイチンゲールを残せば他が復活する。ナイチンゲールを先に倒すと?
「局長!具申致します!ナイチンゲール先ではだめなのでしょうか?」
「それも考えました。然しナイチンゲールには”われはすべて毒あるもの 害あるものを絶ち、 悪しき薬を用いることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。”との言葉が残されています。先の戦闘が斥候目的だとすれば今度は本気。恐らく絶えず回復し続ける事でしょう。」
ではどうしたらいい。何が正解だ。どうすればいい。
「みんな!来るよ!こんにゃろ~!」
戦闘が始まってしまった。
ドローンからも絶えず射撃が続けられる。
効果は無いんだ。通常の射撃では。
私も新兵器受領の際に受け取った浸蝕対電弾を装填し撃ち込む。
現状量産が難しく、緊急事態の場合のみ使用が許されている。
今がその時だ。目標に向かい斉射する。
着弾点が対消滅する。スフィアが生まれ目標を飲み込む。
触手は消せる、でも。
クリミアの天使がそうさせなかった。
再生速度が桁違いだ。連射でも間に合わない。
噛崎1曹の刀は!?
「き~れ~な~い~!切っても切っても生えてくる~!」
あてに出来そうもない。
曹長は私と同じ射撃、噛崎1曹よりも結果が望めない。
ドローンによる補給はあれど有限である。
外からは入れるが出れない。弾倉の補給に戻れないのだ。
じりじりと追い詰められる。
ついにはお互いの背が触れ合うまでに追い詰められた。
「絶体絶命……か。」
「諦めるな、誰ひとり欠ける事無く事変を終えるんだ!生きろ!」
「かといってここれじゃあねぇ~……。」
文字通りの絶体絶命。
局長からの打開策もなし。
錦糸町からの連絡もなし。
現場で出来る事もなし。
でも、諦めたのは私だけだった。
「こちら錦糸町発令所、総員即時重力バリアを3機重なるように展開するように。即時です!伊織!」
「衛星映像によるマニュアルにて照準補正。目標位置35度40分ノース、 139度44分イースト!錦糸町1から108迄の弾頭を浸蝕短SAMへ……
ミサイルが突っ込んでくる!?
「みんな聞いたわね!?重力バリアを展開。範囲は
指示された通りにバリアを展開する。1機3層3機にて計9層。かかるGが桁違いだ。以前経験した物とは全く違う。
押しつぶされる。操縦桿を握る手も動かせないほどの圧力。
「ぐ……ぐ、ぐ。正解です。全てを同時に倒せばいい……ぐ。しょ、衝撃に備え!」
って言われても動けない。機体もボコボコ言いながら潰れていく。
緞帳を切り裂く炎の鏑矢が着弾する。
かなりの衝撃だった。全108発の浸蝕弾。その全てがここ永田町駅周辺に撃ち込まれる。
浸蝕対電弾の大型、正確には浸蝕短SAMの小型が浸蝕対電弾。
大型の分威力が桁違いである。
抉り取る範囲も広く再生が追いつく間もなく次が来る。
もちろん重力バリアに当たる物もあった。その度、心臓を潰されそうな衝撃に襲われる。
約30秒と言ったところか。全弾弾着を確認しバリアを解く。
AIによる脅威判定無し。
発令所戦術作戦課、CICの尽力により目標体は沈黙した。
そこに無線が入る。
「衛星画像により敵生体の殲滅を確認した。遅れて申し訳ない。緞帳の解決にと閉架図書へと行っていた。気になっていたんだ。どうしてあれだけ大きな緞帳を下ろせるのか。それにはなにか触媒が必要ではないか?そして辿り着いた答えが。」
局長が重ねる。
「「都市伝説。」」
都市伝説?今回の事変が?
玄月2尉は続ける。
「東京には山手線に結界があるという都市伝説が存在する。それこそ、山手線を覆い尽くす物だ。話が変わるが太極は知っているだろうか?陰陽変化の理……とまあ難しいんだが、陰と陽その二つが山手線に影響している。最も良いとされる場所、陽の陰。それは皇居。そして最も悪いとされる陰の陽。新宿だ。恐らくこの2カ所に何かしらの触媒が悪さをしていると考えていいと思う。戦力を分ける事は断腸の思いだが、餘目君と局長は新宿へ、噛崎君と城君は皇居へ戻って欲しい。以上よろしく頼むよ。」
疑問しか浮かばない。太極?陰?陽?いったい何がって感じだ。
「ではみんな、玄月君の言う通り行動開始。遥、出して。」
「噛崎1曹。城を頼むぞ。」
「まっかせんしゃい!」
私達は2手に分かれ目的地を目指した。
途中局長から詳しい話が聞かされる。
「先の説明の通りだと同時破壊が必要でしょう。さて、少し時間があるので歴史のお勉強。山手線は第一次世界大戦時に皇居を悪い気から守る為にその建造が始まったとされています。そして中央線、総武線、つくばエクスプレス。この3線を引き入れる事で運を高めようとした。首都横断なんて言ってるけど総武線はS字に曲がっているんだ。山手線と合わせて太極図に見えるってわけ。少し賢くなったわね。」
いや、もうなにがなんだか。
モニターの噛崎1曹も苦笑いである。
凄い知識量だ。図書館なんじゃないかって思う。
戻ってきた皇居では異様な光り方をしている箇所があった。
さっきは無かった。答えを教えているつもりか?
同時破壊と言っていた。待機する。
あれはなんだ。木に磔られた藁人形?
古典的な。でも
暫く待つと連絡が入る。
同じく藁人形を見つけたを言うもの。
曹長とタイミングを合わせ藁人形に突き刺さる五寸釘を抜き去る。
結果はすぐやってきた。
空が、晴天になった。任務達成だ。
「聞こえるかい?みんな。」
「こちら御園生、聞こえますか?」
「聞こえています。無事でよかった。事変収束お疲れさまでした。」
ボッコボコの機体。よく頑張ったね。シートに背を預け息を吐きだす。
その後は合流した餘目曹長と秋葉原迄走り、用意された車両で錦糸町へと戻っていった。
長い長い危険な任務が終了した。
今日はもう……休もう。
――――――――――――――――――――
緞帳を晴らす術を齎したのは他でもない我等が敵と認識する
他と違う特異体、今までの型に当てはまらない存在。
言語を操り、城未来を”異端の命”と呼び去っていった。
事変は大きな局面を迎える。
次回、《第10話:過去になる今日、近づく明日》
私の存在意義。誰も答えられない。私は□□□───。
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