第5話 何者にもなりたくない

 私は中年にさしかかっている。

何かの職について肩書が欲しくない。

責任もあるだろうけど何かになるというレールに乗ると憂鬱になる。

どこかの会社の係長等。

何者かになると働けなくなると何者かでなくなる。

その定年後に恐怖に近い、凄く嫌な予感がする。

今までやってきたことにしがみついたり

虚無感もあるだろう。

あるいは達成感かもしれない。

社会で何者かになる充実感はきっと

身を正してくれるし、気持ちもいいだろう。

やりがいもある。

私は役割が終わった後がすごく怖い。

そうしているうちに何者でもない中年を迎えた。


私は何者かになることへと憧れがある反面

何者にもなりたくないのだ。

周りはどんどん変わってゆくが

私は私のままでいたいのだ。

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