寒さに包まれた国を舞台に、月の巫女を守る戦乙女を目指す少女の物語

冬の厳しい寒さに包まれた神秘的な国を舞台に、月の巫女を守る戦乙女を目指す少女アストリッドの物語です。

主人公のアストリッドは、赤褐色の髪と雀斑を持つ14歳の少女です。ごく普通の少女でありながら、その内面に秘められた強い意志と前向きさで、戦乙女への道を突き進みます。半年間の厳しい訓練を乗り越え、見事に戦乙女の資格を手にしたアストリッドの喜びと誇らしい気持ちが伝わってきました。

アストリッドを支える存在として、養父のイヴァンと一年前に救った少年ロキが印象的です。イヴァンから剣術を学び、ロキの優しさに包まれながら、アストリッドは強く逞しく成長していきます。同時に、イヴァンと同世代の男性レムとの確執や、本当の父親への想いなど、アストリッドの内面も丁寧に描写されています。

月の巫女に会うために身支度をするシーンでは、普段は鏡を見るのも嫌がるアストリッドが、初めてお化粧をして自分の美しさに気づく様子が印象的でした。少女から大人の女性への一歩を踏み出す瞬間が感じられます。

神秘的な月の巫女とその眷属である嵐の獣との対面を前に、高鳴るアストリッドの胸の内が手に取るように描かれています。そして、トーナメントで戦った金髪の少女との再会は、これからのアストリッドの運命を暗示しているようで、続きが気になります。

少女の成長物語でありながら、豊かな異世界観と魅力的な登場人物たちによって、ファンタジー小説としても十分に楽しめる内容となっています。アストリッドのこれからの冒険と成長を、この先も見守っていきたいと思います。

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