空の矢印

バルバルさん

それはそれとして

 これは小学校当時の僕が、友達の家へ遊びに行こうとした時の話です。


 その友達の家には初めて行くのですが、当時の僕はしっかりと準備していませんでした。


 暑い夏の日、雲はあれどものすごく暑かったと記憶しています。


 歩けど歩けど、中々友達の家に着きません。当然ですね、別の道を行っていたんですから。


 喉は渇くし、暑いし、だけど一雨きそうだし……嫌になって、空に叫びました。


「友達の家はどこ?

雨雲はどっちに行くの?

雨は降るの?」


 こんな感じの事を叫びました。するとどうでしょう。雲がゆっくりと動き、矢印の形になったではありませんか!


 嘘ではありません。記憶では本当に矢印の形になっています。本当に。

 

 その矢印が示す所、それは全く当時の僕にはわからなかったのですが、もしかしたら雨雲が動く方向だったのかもしれません。


 まあ、そんなこんなで、道に迷いつつ友達の家に着いたのですが……

 

 今こうして書いてても、信じてもらえないだろうなぁ……と思ってます。


 雲が矢印の形になるなんて、僕なら信じません。


 暑さの見せた幻だったのか。それとも、そこは神社が近かったので、神様が「仕方ないな」と何かを示してくれたのか……

 

 それともう一つ。

 

 友人の家に向かう道は、一本道。脇道に短くそれることはあっても、迷うほど道は入り組んでないのです。



 なら、僕はどこの道を迷ってたのでしょう?


 ……書いていて気が付いた、そんな話でした。

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空の矢印 バルバルさん @balbalsan

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