王道的な展開だけど、外し方が巧みな異世界ファンタジー

魔法や魔獣が世界に広がる、ストレートな異世界ファンタジー作品です。
とは言え堅苦しい訳ではなく、むしろ読み易いです。

キャラクターについてですが、世間に広まっている魔法とは、別系統の異能を主人公は持っています。
割とチート系かと思いきや、魔獣や魔人といった敵はそれ以上の能力で迎え撃ってくるので、苦戦を強いられると言いますか、一筋縄ではいかない展開が広げられています。
その描写が丁寧に描かれるので、かなり熱の入ったバトル展開と言えます。
負傷の描写がやけにリアルで、グロとまではいかないものの、思わずこちらが悲鳴を上げたくなる場面さえあります。
この迫力ある異能バトルこそが、作品の一番の見所ではないでしょうか。

シナリオも王道で、良い意味で取っ付きやすいですね。
師匠となる方に戦い方を教わり、ヒロインと出逢い、仲間を増やしていく。
襲いかかる敵と死闘を重ね、真実に触れていく王道的なお話です。

ですが、ただ王道なだけではありません。
時に物語の中で、悲劇的な展開が出てきます。
そのシーンは、無情なほどあっさりと訪れるのですが、そこがやけに現実的と申しましょうか。
必ずしも、大事な人の危急の事態に居合わせられる訳じゃ無いよなあと、考えさせられます。
非常に上手い展開でした。

王道でありながら、良い意味で外すところは外した、インパクトを与えるのが上手い作品でした。

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