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つうと言えばかあ、天智天皇に藤原鎌足、保守党に労働党、スピルバーグにルーカス、エラリーにクイーンか?何れにせよ二者の関係は遠く神話の時代から紐づけられているはずだ。それに倣えば、海と花火の組み合わせだって史書に名を連ねることになるかもしれない。炭によって熱し切られた鉄板で野菜やら肉やらを十分色づかせて、白状すれば半分焦がしながら、ぼくらは火薬と金属の混合比による魔術を今か今かと待ちわびていた。
「わたしって気分屋なのね」
「情緒豊かって言うんだよ。そういうのはね」
「それってポリコレって奴でしょ」
「いいや」
彼女は熱いのを嫌がって特別離れたところに座るものだから、ぼくが彼女に話しかけに行った様子は全く自然には見えなかった。砂の柔らかい所に壜底を埋めて固定してやってから、ぼくは立ち上がりうんと背伸びをする。もちろん時間稼ぎに。
「今ってさ、部長なんでしょ」
「いや。もう代わってもらった」
「やっぱり面倒だったんだ」
「そうとも言うね」
ふざけた調子で応じてもあの笑い声と答えが返ってこなかったから、ぼくはゆっくり座り込んでから仰向けになった。
「朝、海に出てた子知ってる?」
「今朝?」
「そう」
「多分わたしの妹。あの子泳げないから」
「へえ」ぼくはなるべく感情のない相槌を打った。
そこで一旦会話が途切れ、自分の唾を飲み込む音が耳に響く。
「黒木クンさ、どうして電話くれなかったの?」
ぼくがあんまり鈍いから、咄嗟に出た彼女なりの助け舟なのだろうか?言葉の裏表を考えていると遠くから上昇音としか形容し難い音が聞こえてきたかと思えば、空に赤やら緑色がぶち撒かれる。ぼくはそれに存外見惚れてしまって(寝転がって空全体が視界に広がっている為だろう)、さっきまでの事をすっかり忘れてしまうところだった。
この事態を乗り越えるための秘策。それはやはり、ボートで漕ぎ出したあの少女はぼくの妹だと思うのだ。
ミント・シロップ @o714
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