第4話 目が覚めて

ジョージが目を覚ますと、そこは寮の自室だった。

夕日が室内に差し込んでいる。遠くで足音と声が聞こえるのでおそらくは業後だろう。

今まで夢でも見ていたのかと思いながら身を起こす。

しかし、左手になにやら重みを感じた。見ると、金属製のブレスレットがある。

全く身に覚えがない上に、倦怠感も酷かった。全身の力かうまく入らない。まるで数日動いてなかったかのような――


ベッドの上で悩んでいると、ドアがガチャリと開く。明るい声が部屋に響いた。


「あ〜疲れ、た……」

「……」

「…………」

「よ、よぉ……?」


「うわぁー!!!!!???皆ー!!!!!ジョージが、ジョージが帰ってきたー!!!!!」


同室の彼―レオはまるで幽霊でも見たかのように叫び、寮内に響き渡る声で叫んだ。


その後はもう、それはそれは大変だった。どうやら3日間行方知れずだったらしいジョージは皆にもみくちゃにされたかと思えば、その勢いで寮長や教師に呼ばれ、説教。

反省文を書き、罰として一ヶ月放課後の掃除を命じられた。


クタクタになった手足を引きずりながら、部屋に戻る。レオはまだ戻っていないようだった。

(結局、アイツらには会えなかったな……寮にはいるらしいけど)

あの日、ともに迷い森へ入った友人達とは終ぞ出会わなかった。

先程教師たちには行方不明であったことは聞かされても、どこで何をしていたかについては把握していなかったため、適当に「構外の街で遊んでいた」と噓をついた。

ハリソンとマーカスも同様の嘘をついていたのか、それ以上は詮索されずに終わった。

結局、あの日の出来事が現実なのか、夢なのか、いまいちわからないままだ。


ふと、窓が開いていることに気づく。

開けた記憶はないな、と思いながら窓に手をかける。すると、外から1羽のカラスが勢いよく飛び込んできた。

「うわ!?」

カラスは部屋をぐるりと旋回した後、窓際にあるジョージの模型だらけの机にとまり、咥えていた紙を置いた。

「クソ、最近驚いてばっかだな俺……」

ジョージは恐る恐る紙を開く。


【24時 天文台 屋根の上】






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る